細胞シート より安価に製造 長岡技科大など新手法開発


長岡技術科学大(新潟県長岡市)や慶応大など4大学の共同研究グループは、再生医療に使われる「細胞シート」を従来より安価に製造できる新手法を開発した。細胞シートは薄膜状に培養した細胞の集合体で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)とともに再生医療に重要な役割を果たすと期待されている。グループは「再生医療の発展に寄与できる」としている。 開発したのは長岡技科大の大沼清准教授(52)、慶大の竹村研治郎教授(44)、今城哉裕博士研究員(27)、安田女子大、東京工業大のグループ。 細胞シートは、目的の細胞をプラスチックの皿で培養した後、皿から剥がしてシート状にして使われる。病気などで組織が欠損した部分に貼り付けると、再生が促される。現在は角膜や軟骨で臨床研究が進められている。 既存の手法では、表面に特殊なコーティングを施した培養皿を使用し、培養後に温度を低くすることで剥がしてきた=図参照=。しかし、特殊な培養皿は価格が高く、温度の低下で細胞に悪影響が出るなどの課題があった。 これに対し研究グループは、微弱な超音波を1時間ほど当てることでシートを剥がすことに成功。一般的な培養皿を用いるためコスト抑制につながり、温度低下による細胞への悪影響も避けられると確認した。 超音波の強度や、当てる時間が最適になるよう検討を重ねてきた。研究成果は6月、学術誌のオンライン版に掲載された。今回の実験では模擬としてマウスの筋肉の腫瘍細胞でシートを作ったが、今後は他の細胞種でも試みる。 大沼准教授は「細胞シートの作成技術は未熟な部分も多い。新手法は既存の手法と組み合わせて用いるのが現実的だが、新手法の方が大量生産や臨床への応用に向いており、汎用(はんよう)性が高い」と話している。

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