気管に食べ物が入る「誤嚥(ごえん)」による窒息死は、1月1日(元日)が最も多いとの研究成果を筑波大の研究チームが発表した。チームは「餅が原因の可能性が高い」と分析。例年、年末年始に餅を喉に詰まらせて救急搬送される事例が多発しているが、研究機関が全国データで裏付けたのは初めてという。成果は、今月13日付の日本疫学会の学会誌(電子版)に掲載された。チームは、厚生労働省が集計した2006年~16年の人口動態調査死亡票を活用し、誤嚥で窒息死した5万2366人の年齢や発生場所、死亡日などのデータを分析した。窒息死した人の約7割が75歳以上の後期高齢者で、日付別では、11年間の平均で1月1日の死者数が71人と最も多く、同2日が55人、同3日が45人と続いた。都道府県別では、新潟県が最多で、京都府が最も少なかった。発生場所は家が約6割を占め、老人ホームなどの居住施設は約2割だった。チームによると、分析したデータに窒息の原因となった食べ物は含まれていないが、正月三が日に死者が多く、正月に餅を食べる習慣があるため、餅が原因とみている。後期高齢者の死亡が多いのは、加齢で食べ物を飲み込む力が弱くなり、窒息も起こりやすくなるためとみる。チームの田宮菜奈子教授(公衆衛生学)は「高齢化社会が進むにつれて窒息死が増加する恐れがある」としている。論文著者の同大学院博士課程1年の谷口雄大さんは「窒息死は気をつければ防げる。食べ物を小さく切るなど工夫して注意してほしい」と話した。【韮澤琴音】