転移した状態で見つかり、最初にできた臓器が分からない「原発不明がん」患者に、がん免疫治療薬「オプジーボ」が有効だと初めて医師主導治験で示したと、近畿大の林秀敏講師(腫瘍内科学)らのチームが31日、米臨床腫瘍学会のシンポジウムで発表した。既に抗がん剤による治療歴がある患者45人に投与すると、10人(22%)でがんの面積が半分以下になった。原発不明がんはがん全体の2~5%を占め、診断から5年後の生存率は2~6%と極めて治療が難しい。チームは「オプジーボが(科学的根拠に基づいて勧められる)標準治療になることが期待できる」としている。チームの解析では、効果は半数の人で1年を超え、最もよく使われる抗がん剤2種類の併用療法の4~7カ月に比べて長かった。オプジーボは免疫細胞にがんを攻撃させる薬で、皮膚や肺などのがんに使われる。ノーベル医学生理学賞の本庶佑京都大特別教授らの研究成果を基に開発された。