オンライン初診 青森県内医療機関も導入


新型コロナウイルス感染拡大で初診からのオンライン診療が4月、認められたことを受け、青森県内でも導入する医療機関が出始めた。藤崎町の「せきばクリニック」は今月、オンラインで2件の初診患者を診た。関場慶博院長は「医師と患者の感染リスクを回避でき、効率的な診療ができる」と語る。同クリニックで今月、オンラインで診た新規患者は高脂血症とアレルギー性鼻炎の2件。スマートフォンなどを通して送られてきた画像で、保険証、受診履歴、お薬手帳などを確認。電話による通話や画像のやりとりで患者の状態を把握し、療養の仕方などを説明した上で、オンラインで処方箋を出した。本人確認は免許証などで行い、関場院長も医師資格証を提示した。診療時間は10~15分程度。同クリニックは2018年から高血圧症、糖尿病など慢性疾患の再診でオンライン診療を導入。初診への拡大もスムーズにできたという。関場院長は「オンライン初診は、軽症の患者の診療に便利。患者にとっても、医師にとっても感染リスクを回避され、心身のストレスも軽減される。聴診をできないなどの課題はあり、ベストではないが、ベターな診療方法。コロナウイルスの終息までの期間が長引けば、導入する医療機関が増えるのではないか」と語った。県医療薬務課によると、県内のオンライン初診の実施状況は24日現在、「国が取りまとめ中」としているが、東奥日報が厚生労働省の資料を基に調べたところ、せきばクリニックのほか、工藤医院(弘前)、近江整形外科(同)、城下やえがき整形外科(八戸)など数カ所の医療機関が実施していた。工藤医院の工藤幸正副院長は「民間クリニックがオンライン診療で発熱者などを診ることは、コロナウイルスの重症者を診断・治療する病院の後方支援につながる」と語った。一方、オンライン診療未導入の弘前市の内科医は「やはり聴診しないと診察は難しい。将来的に機器が進歩してオンラインでも、呼吸音を聴診できるようになるのが理想」と語った。全国の250病院が回答したアンケート(今月8~11日、メディカル・データ・ビジョン社実施)では、「オンライン初診を実施する」としたのは15%にとどまっている。できない理由として約9割が「環境整備ができていない」、約3割が「診療に対する責任(が持てない)」と回答した。▼オンライン診療 医師が情報通信機器の画面を通じて、遠隔の患者を診察する診療。1997年に、へき地や離島などを前提に認められ、2015年には一般診療でも認められた。厚生労働省は18年策定の指針で、初診患者は原則として対面診療とするよう明記した。だが新型コロナウイルス感染拡大を受け、同省は20年3月、条件付きで軽症や無症状の感染者への適用を容認。その後、終息までの時限措置として初診からの全面解禁を決め、政府が同年4月7日にまとめた緊急経済対策に盛り込まれた。

関連記事

ページ上部へ戻る