手の震え AI診断 「受診の目安に」 宮崎大医学部講師、IT企業とアプリ開発


手の震えを数字で客観的に把握できるスマートフォン用無料アプリ「ふるえ診断AI」を、宮崎大医学部の望月仁志講師(脳神経内科)がIT企業「デンサン」(宮崎市)と共同開発した。医師が治療効果を把握できるほか、一般の人が医療機関を受診すべきかどうかの目安にもなり、望月講師は「ぜひ活用を」と呼びかけている。望月講師によると、手の震えには、明らかな原因がない本態性振戦(ほんたいせいしんせん)や、脳梗塞(こうそく)など小脳に何らかの異常が潜むものなどさまざまな原因がある。最も多いのは本態性振戦で、人口の2・5~10%だが、医療機関を受診しているのはその数分の1。多くは投薬治療で改善する。現在、症状は医師が見た目で「普通」「弱い」などと判断しており、客観性を持たせられないかと、望月講師が2019年2月、開発を計画。デンサンと作業を始め、今年3月末に完成した。使い方はまず、利用者がアプリかららせん図を印刷し、震える手で赤ペンを持ってなぞる。それをスマホで撮影すれば、基準線と比べた線の長さと基準線からのずれの面積をAIが解析してくれる。パーキンソン病に伴う震えはチェックできず、高齢や緊張由来の震えを本態性振戦と誤診することがあるが、70~80%の精度で本態性振戦や小脳障害の可能性が判明。医療機関にとっても有用な参考データになる。アプリは英語にも対応。配信サイト「アップルストア」と「グーグルプレイ」から入手できる。【杣谷健太】

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