Kite、Tecartus(R)について、急速進行性の血液がん患者に対する新たな解析結果をASH 2023で発表


2024年1月18日

ギリアド・サイエンシズ株式会社

Kite、Tecartus(R)について、急速進行性の血液がん患者さんに対する 長期奏効および安全性を支持する新たな解析結果をASH 2023で発表
 -ピボタルZUMA-2試験の約4年間のフォローアップにおいて、 全生存期間の中央値は46.4カ月、再発/難治性(R/R)のマントル細胞リンパ腫(MCL)成人患者さんにおける長期奏効を支持- -リアルワールドエビデンス(RWE)では、R/R MCL患者さんにおける完全奏効率は81%、高リスク特性を有するTP53/17p欠失患者さんでは84%の有効性を示す- -RWEでR/R B前駆細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)成人患者さん
においても、完全寛解または正常な血液細胞の回復が不完全な寛解が76%を示す-
 
ギリアド・カンパニーのKite(本社:米カリフォルニア州サンタモニカ、ナスダック:GILD)は、12月11日、R/R MCLおよびR/R B-ALL成人患者さんに対するTecartus(R)(brexucabtagene autoleucel)の使用を支持する新たな4つの解析結果を発表しました。これらの結果には、R/R MCL患者さんを対象にCAR T細胞療法のTecartusを評価する、ピボタルZUMA-2試験の4年間の全生存(OS)データおよび拡大利用に関するZUMA-18試験の一次結果が含まれ、第65回米国血液学会(ASH 2023)年次総会および展示会にて、口頭発表が行われました(抄録番号 #106)。
 
サイトカイン放出症候群(CRS)および神経系事象の発現時にそのコントロールを目的として早期介入が行われた患者さんと非介入の患者さんを比較し、安全性アウトカムの向上が見られたZUMA-2試験の解析についても、ポスターセッションで発表されました(抄録番号 #2120)。
 
さらに、Tecartus投与を受けた米国のR/R MCL患者さんに関する国際血液骨髄移植研究センター(CIBMTR)の観察データベースに基づく、有効性および安全性アウトカムに関するリアルワールド結果についても、口頭発表セッションで紹介されました(抄録番号 #107)。R/R B-ALL成人患者さんに関するCIBMTRのデータについても、12月11日に口頭発表されました(抄録番号 #1029)。
 
Kiteの上級副社長で、臨床開発グローバルヘッドのフランク・ノイマン(Frank Neumann, MD, PhD)は次のように述べています。「ASHで発表された臨床試験結果やRWEは、治療選択肢が限られる急速進行性の血液がん患者さんに対する、Tecartusの長期奏効および安全性の可能性を明確に裏付けています。幅広い患者さんに対してTecartusが一貫性したアウトカムをRWEで示したことを非常に心強く思います」
 
Tecartus関連の抄録に関する詳細情報
(抄録番号 #106)
ZUMA-2試験および拡大利用に関するZUMA-18試験における、Brexucabtagene Autoleucel (Brexu-cel)投与を受けたR/R MCL患者さんのアウトカム
 
ピボタルZUMA-2試験においてTecartusの投与を受けたR/R MCL患者さん68名のフォローアップ期間中央値が47.5カ月であったことが報告されました。アントラサイクリン系またはベンダムスチン系の薬剤を含む化学療法、抗CD20抗体、およびブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi:イブルチニブまたはアカラブルチニブ)の投与歴がある患者さんが対象でした。OSの中央値は46.4カ月でした。うち、30名(44%)がデータカットオフの時点で生存していました。完全奏効(CR)を示した患者さん(n=46)のOSの中央値は、58.7カ月でした。
 
Tecartusの拡大利用に関する多施設、非盲検試験であるZUMA-18試験に登録されたR/R MCL患者さん23名の有効性および安全性アウトカムについても発表されました。フォローアップの中央値は33.5カ月で、治験医師が判断した客観的奏効率(ORR)は87%でした(95%信頼区間[CI]:66.4-97.2)。Tecartusに対する最良効果として、CRは57%(95%CI:34.5-76.8)、部分奏効(PR)は30%(95%CI:13.2-52.9)、進行(PD)は9%でした(95%CI:1.1-28.0)。OSの中央値はデータカットオフ時点では未達で(95%CI:10.4-推定不可)、24カ月時点のOS率(OSR)は58%でした。
 
データカットオフ時点で、61%の患者さんが生存していました。ZUMA-18試験でTecartusの投与を受けた23名の患者さん全員に、少なくとも1つのグレード3以上の有害事象(AE)が発現しました。グレード3以上のCRSと神経系の事象が、それぞれ1名(4%)、8名(35%)の患者さんに発現しました。5件のグレード5のAEが発現し、うち1件はTecartus投与に関連あり(投与20日目に多臓器不全症候群を発現)、4件はTecartus投与に関連なし(敗血症[2名、123日目・219日目に発現]、誤嚥[1名、49日目に発現]、脳症[1名、68日目に発現])とみなされました。
 
Zuma-2試験の治験医師で、Hackensack University Medical CenterのJohn Theurer Cancer Centerリンパ腫部門長のアンドレ・ゴイ(Andre Goy, MD)先生は、次のように述べています。「CRを達成した患者さんのOSの中央値が46.4カ月であることを示したZUMA-2試験の結果と同様に、拡大利用に関するZUMA-18試験においても、brexu-celはR/R MCL患者さんに対して高い有効性を示し、重篤なCRSのリスクも軽減されています。これら2つの試験結果はともに、R/R MCLに対するbrexu-celの継続的使用を強く支持するものです」
 
(抄録番号 #107)
R/R MCLに対するBrexucabtagene Autoleucel(Brexu-cel)のリアルワールドアウトカム:高リスク特性に関するCIBMTRのサブグループ解析
 
TP53変異/欠失または高Ki-67増殖指数(PI)を有するR/R MCLの患者さんには、これまで治療選択肢が限定され、アウトカムも思わしくありませんでした。以前発表したZUMA-2試験の3年間のフォローアップにおいては、TP53変異を有する、またはKi-67 PIが30以上あるいは50以上の患者さんを含むさまざまな高リスクサブグループにおけるアウトカムは、同等でした。
 
84カ所の米国拠点から収集した、Tecartus投与を受けたR/R MCL患者さんに関するCIBMTRの観察データベース解析が発表されました。フォローアップの中央値は12.2カ月で、CR率(CRR)はこれらの治療が難しいサブ集団でも高くなりました。
・TP53/17p欠失患者さん(n=44)のCRは、欠失なしの患者さん(n=183)の81%に対し、84%
・Ki-67 PIが50以上の患者さん(n=146)のCRは、Ki-67 PIが50未満の患者さん(n=111)の84%に対し、83%.
 
安全性評価項目は、全てのサブグループでほぼ一貫性が見られました。長期の好中球減少症および血小板減少症は、TP53/17p欠失患者さんにおいて、欠失なしの患者さんよりも頻繁に発現しました(それぞれ、25%対13%、28%対16%)。グレード3以上のCRSは、ZUMA-2試験への参加条件を満たさなかった患者さんにおいて、同試験に参加した患者さんよりも頻繁に発現しました(13%対7%)。多変量調整後、全ての有効性および大部分の安全性アウトカムは、TP53/17p欠失やKi-67 PIが50を超えていることに関係なく、一貫性が認められました。
 
治験責任医師で、City of Hopeのリンパ腫部門(血液学および造血細胞移植担当)助教のスウェタ・カムハパチ(Swetha Kambhampati, MD)先生は、次のように述べています。「これらのリアルワールドの結果は、ZUMA-2試験への参加条件を満たしていることや、解析対象が高リスク特性を有するサブグループであることに関係なく、高いCRRをはじめ、brexu-celによる治療のアウトカムにほぼ一貫性があることを示唆しています。TP53/17p欠失のない患者さんが欠失患者さんより長いOSを示しているものの、データでは、一般的に予後が芳しくなく、治療選択肢が限られているR/R MCL患者さんに対するbrexu-celの安全性および効果持続性がさらに示されています」
 
(抄録番号 #1029)
R/R B-cell ALL成人患者さんにおけるbrexucabtagene autoleucel(brexu-cel)のリアルワールドアウトカム:CIBMTRレジストリのエビデンス
 
このB-ALL成人患者さんに対するTecartusのリアルワールドエビデンス研究は、米国の67拠点における150名の患者さんのCIBMTRレジストリデータベースを分析したものです。
 
本解析では、投与後100日までの完全寛解または正常な血液細胞の回復が不完全な寛解(CR/CRi)率が76%で、70%が初期反応後6カ月の時点でも依然として寛解の状態にあることが明らかになりました(95%CI:55-80)。リンパ球除去化学療法(LD)前に奏効が認められなかった患者さんのうち、63%が投与後にCR/CRiに転換しました。
 
6カ月時点でのOSRは78%でした(95%CI:69-84)。主な死因は原疾患(n=13/32、41%)および感染症(n=7/32、22%)でした。約3分の1(31%)のレスポンダーは、続いて同種造血幹細胞移植(allo SCT)を受けました。年齢、ブリナツモマブの投与歴、allo SCT歴、あるいはLD前の髄外病変の有無に関係なく、全ての患者さんにおいて、高い奏効率が認められました。グレード3以上のCRSおよび免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS、ASTCTコンセンサスによる)が、それぞれ9%、24%の患者さんに発現しました。CRSおよび/またはICANSの治療は、主にトシリズマブ(67%)、コルチコステロイド(51%)で行われました。これらのAEのほとんどは、投与後3週間以内に改善されました(CRS:94%、ICANS:80%)。投与後30日目に、遷延性血球減少症および好中球減少症がそれぞれ42%、33%の患者さんに発現しました。
 
治験責任医師で、オハイオ州立大学Comprehensive Cancer Centerの血液専門医であるエヴァンドロ・ベゼラ(Evandro Bezerra, MD)先生は次のように述べています。「B-ALLに対するbrexu-celの最大級のRWE研究で、その有効性および安全性アウトカムが、広範な患者集団に対して高い奏効率を示したZUMA-3の結果と一貫性を示したことを心強く思います。これらの結果は、非常に治療を難しくする高リスクの併存疾患やその他の要素と共に生きる人々を含む、B-ALL成人患者さんの治療におけるbrexu-celの役割にさらに自信を与えてくれます」
 
ZUMA-2試験について
ZUMA-2試験は、アントラサイクリン系またはベンダムスチン系の薬剤を含む化学療法、抗CD20モノクローナル抗体による療法、BTKiのイブルチニブまたはアカラブルチニブに難治性を示した、または当該治療を最大5つ受けた後再発した、74名の登録/血液アフェレーシスを行ったMCL成人患者さん(18歳以上)を対象とした、単群、国際共同、多施設(米国および欧州)、非盲検、第II相試験です。本試験の目的は、この患者集団におけるKTE-X19単回注入後の有効性および安全性の評価です。本試験の主要評価項目はORRで、独立画像判定委員会(Independent Radiology Review Committee)により評価されたCRおよびPRを合わせた割合と定義されます。副次評価項目は、奏効持続期間(DOR)、最良客観的奏効(BOR)、無増悪生存期間(PFS)、OS、AEの発現、抗CD19 CAR抗体の発現、血中の抗CD19 CAR T細胞濃度、血清中のサイトカイン濃度、およびEQ-5D尺度によるスコアおよび視覚尺度によるスコアの経時的変化です。本試験は現在進行中です。
 
ZUMA-18試験について
米国における拡大利用に関するZUMA-18試験は、それぞれ27名ずつの被験者による2つのコホートで構成されています。主要目的は、Tecartus上市までのR/R MCL患者さん(コホート1)および製造された製品が上市の基準を満たしていなかったR/R MCL患者さん(コホート2)にTecartusへのアクセスを提供することでした。コホート1では、1レジメン以上の治療歴を有するR/R MCL成人患者さん(18歳以上)に白血球アフェレーシスおよび前処置化学療法を行った後、目標用量を2×106 cells/kgとして(または100kg以上の患者さんに対しては、2×108 の抗CD19 CAR T細胞を固定用量として)、Tecartusの単回投入を行いました。コホート2では、患者さんがコホート1の白血球アフェレーシス以外の治療を受けました(初回の白血球アフェレーシス製品を使用)。主な評価項目は、安全性、ORRおよびOSでした。
 
マントル細胞リンパ腫(MCL)について
MCLは、リンパ節の「マントル帯」に由来する細胞から発生した珍しい型の非ホジキンリンパ腫(NHL)で、主に60歳を超える男性が罹患します。世界でおよそ33,000人が毎年MCLと診断されています。MCLは再発後の進行が非常に早く、多くの患者さんは治療後に症状が進行します。
 
急性リンパ性白血病(ALL)について
ALLは、リンパ節、脾臓、肝臓、中枢神経系およびその他の臓器にも影響を与える可能性のある急速進行性の珍しい型の血液がんで、治療が非常に困難です。成人では、B-ALLが最も一般的で、75%を占めています。R/R ALL成人患者さんの生存率は芳しくなく、OSの中央値は8カ月未満です。
 
Tecartusについて
効能・効果、警告、禁忌・禁止および医薬品情報を含む添付文書(完全版)をご参照ください。
 
Tecartusは、CD19を標的とした遺伝子改変自家T細胞免疫療法で、米国においては次に挙げる患者さんの治療を適応としています。
 
・R/R MCL成人患者さん。本適応症は、全奏効率(ORR)および効果持続性に基づき迅速承認されました。本適応症の承認を継続するには、検証的試験で臨床的ベネフィットを検証し、証明することが条件となります。
・R/R pre B-ALL成人患者さん
 
米国における重要な安全性情報
枠組み警告:サイトカイン放出症候群および神経毒性
・重度または生命を脅かす反応を含むサイトカイン放出症候群(CRS)が、Tecartus投与患者に発現しています。活動性感染症または炎症性疾患を有する患者にTecartusを投与しないでください。重度または生命を脅かすCRSは、トシリズマブまたはトシリズマブ・コルチステロイドの併用で、治療を行ってください。
・生命を脅かす反応を含む神経毒性が、CRSを同時に発現した場合または回復後を含め、Tecartus投与患者に発現しています。Tecartus投与後、神経毒性についてモニタリングしてください。必要に応じて、支持療法および/またはコルチステロイド投与を行ってください。
・Tecartusは、リスク評価・リスク緩和戦略(REMS)である「イエスカルタ・テカルタスREMSプログラム」に基づく制限プログラムを通じてのみ、投与可能です。
・生命を脅かす反応を含むサイトカイン放出症候群(CRS)がTecartus投与後に発現しています。CRSはALL患者の92%(72/78)に発現し、うちグレード3(Lee grading systemによる)以上は26%でした。また、ALL患者のうち3名が、死亡時にCRS事象を持続していました。ALL患者におけるCRS発現までの時間の中央値は投与後5日(範囲:1-12日)、CRS継続期間の中央値は8日間(範囲:2-63日間)でした。
 
Tecartus投与前に各患者に対し、トシリズマブの投与が2回以上可能であるかを確認してください。投与後、1日1回少なくとも7日間は認定医療機関で、その後も4週間、CRSの徴候および症状について、患者をモニタリングしてください。CRSの徴候または症状が見られた場合、直ちに医師の診察を受けるよう、患者に助言してください。CRSの最初の徴候が見られた時点で、必要に応じて、支持療法、トシリズマブ、またはトシリズマブ・コルチステロイドの併用による治療を開始してください。
 
重度または生命を脅かす事象を含む、神経系の事象がTecartus投与後に発現しています。神経系の事象はALL患者の87%(68/78)に発現し、うちグレード3以上は35%でした。ALL患者の発現までの時間の中央値は7日(範囲:1-51日)、継続期間の中央値は15日間(範囲:1-397日)でした、MCL患者においては、54名(66%)が神経系の事象発現前にCRSを発現しました。また、5名(6%)は神経系の事象の発現があったがCRSの発現はなし、8名(10%)がCRSから回復後に神経系の事象を発現しました。Tecartus投与を受けた患者の134名中119名(89%)において、神経系の事象が解消されました。9名の患者(MCL患者3名、ALL患者6名)は、死亡時に神経系の事象を持続していました。ALL患者においては、CRS発現前、発現中および発現後に神経系の事象が発現したのは、それぞれ4名(5%)、57名(73%)および8名(10%)でした。また、3名(4%)の患者は、神経系の事象の発現があったもののCRSの発現はありませんでした。神経系の事象は、CRSと同時に、CRS回復後、またはCRS未発現時に発現する可能性があります。
 
患者によく見られた神経系の事象(10%以上)はMCLとALLにおいて類似しており、脳症(57%)、頭痛(37%)、振戦(34%)、錯乱状態(26%)、失語症(23%)、せん妄(17%)、めまい(15%)、不安(14%)、激越(12%)でした。Tecartus投与後に、脳症、失語症、錯乱状態、けいれん発作を含む重篤な事象が発現しています。
 
投与後、MCL患者については1日1回少なくとも7日間、ALL患者については少なくとも14日間は認定医療機関で、その後も4週間、神経毒性の徴候や症状についてモニタリングし、速やかに治療を行ってください。
 
REMSプログラムについて:CRSおよび神経毒性のリスクのため、Tecartusは「イエスカルタ・テカルタスREMSプログラム」と呼ばれる制限プログラムを通じてのみ、投与可能です。同プログラムでは、以下が義務付けられています。
 
・Tecartusを調剤・投与する医療機関は登録およびREMS要件の遵守が義務付けられています。認定医療機関は、CRSの治療に必要な場合、各患者に対し、トシリズマブをTecartus投与後2時間以内にその場で直ちに投与できるよう2回投与分以上確保しておくことが義務付けられています。
・認定医療機関は、Tecartusを処方、調剤または投与する医療提供者に対し、必ずCRSおよび神経毒性のコントロールについてトレーニングを行ってください。さらなる詳細については、www.YescartaTecartusREMS.comをご参照いただくか、1-844-454-KITE (5483).にご連絡ください。
 
過敏症反応:アナフィラキシーを含む重度の過敏症反応が、Tecartusに含まれるジメチル・スルホキシド(DMSO)または残留ゲンタマイシンにより発現することがあります。

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