政府は1月に施行された認知症基本法に基づき策定する認知症施策推進基本計画の素案を、6月20日の認知症施策推進関係者会議に示した。認知症の人が希望を持って暮らせる社会の実現に向けて四つの重点目標を掲げ、その効果を評価する指標も設定する。計画期間は2029年度までの約5年。基本計画では認知症になったら何もできないのではなく、誰もが認知症になり得るととらえ、認知症になっても地域で自分らしく生きられる「新しい認知症観」を打ち出す。認知症の人や家族らが施策の立案段階から参加し、行政や多様な関係者が協働して取り組む。自治体は国の基本計画に沿った計画の策定が努力義務とされている。重点目標は「国民の認知症への理解」「認知症の人の意思の尊重」「認知症の人や家族が地域で安心できる暮らし」「認知症に関する新たな知見や技術の活用」の4点。その達成状況を評価する指標はプロセス(過程)、アウトプット(実施)、アウトカム(結果)と段階をつけて設定する。例えば重点目標「認知症の人の意思の尊重」では、プロセスで計画策定に認知症の人や家族の意見を反映している自治体数などを把握。アウトプットとしては、認知症本人ミーティングの支援や、専任の認知症地域支援推進員らを配置して個別相談をしている自治体数などを設定。アウトカムでは、認知症の人の尊厳が保持されていると考える認知症の人や国民の割合を評価する。会議に参加している藤田和子・日本認知症本人ワーキンググループ代表理事は「国民全体が自分ごととして考える。認知症本人がただ参画するだけにとどまらず、対話することが大事」と述べた。同会議は引き続き議論を行う。基本計画は秋ごろ閣議で正式決定する。福祉新聞Web