認知症施策、見直しも 「共生と予防」が推進のカギ 社保審・介護保険部会


厚生労働省は11月24日、第102回社会保障審議会・介護保険部会を開催した。2040年に向けて「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について」の議論を展開する本部会。今回の会合では、様々な生活上の困難を支え合う地域共生社会の実現と保険者機能の強化について意見が交わされた。 厚労省老健局総務課の林俊宏課長は、次のような論点を示した。①総合事業の多様なサービスの在り方、通いの場、一般介護予防事業、②地域包括支援センターの体制整備等、保険者支援、機能強化交付金、給付適正化、地域差分析、④要介護認定――など。うち認知症施策については、「目標達成に向けた進捗状況の評価を踏まえ、進捗状況が丁重な項目については対応策を検討しつつ、引き続き『共生と予防』を車の両輪として施作を推進する」とした。これに対し、小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は、「認知症初期集中支援チームやチームオレンジの広がりがまだ不十分である」と指摘。粟田主一委員(東京都健康長寿医療センター研究所副所長)は、「認知症初期集中支援チームには、独居支援が厳しく困難事例で手一杯という事情がある。地域包括支援センターと統合するなど、機能強化策を取るべき」との考えを示した。また、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「初期集中支援チームによる訪問実人数について21年度では1万6405人に止まった」と指摘。「年間4万人という目標達成には遠く、見直しが必要」との意見も示した。地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について 検討の方向性 出所=厚労省(通いの場、一般介護予防事業) ○新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、通いの場の活動が自粛されている状況もみられ ることから、引き続き周知等を通じて、感染防止に配慮しつつ、活動再開や参加率向上を進 めていくことが必要ではないか。 ○通いの場については、認知症予防、多世代交流や就労的活動など、地域のニーズに応じた 多様な機能を有する場として発展・拡充させていくことが重要ではないか。そのために、好 事例の横展開に当たって各地域の状況や課題毎により活用・参照しやすい形で通いの場の 取組に資する情報を提供していくことなどを検討してはどうか。また、その際、通いの場が住 民主体であることや、専門職が限られていることにも留意しつつ、質を高めるために医療や 介護の専門職の関与を推進することが必要ではないか。 ○多様な課題を抱える者や閉じこもりがち等により通いの場に参加できていない高齢者を介 護予防・見守りの取組につなげるために、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に よる医療専門職等からのアプローチや介護予防把握事業による民生委員・地域のボランテ ィア等からのアプローチなど、様々な手段・機会を活用した働きかけを推進していくことが 重要ではないか。(認知症施策の推進) ○認知症施策について、本年(2022年)は認知症施策推進大綱の中間年にあたるため、認知 症施策推進関係閣僚会議のもとに設置された有識者会議等において、施策の各目標の進 捗確認を行っている。 ○各目標の進捗状況の評価を踏まえ、進捗状況が低調な項目については対応策を検討しつ つ、大綱の掲げる認知症の発症を遅らせ認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせ る社会の実現に向け、引き続き「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していくこととしてはどうか。

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