タニタ、皮下脂肪の厚さ測定器 コロナワクチン接種向け


健康機器大手のタニタ(東京・板橋)は、新型コロナウイルスワクチン接種の注射をする医師の利用を想定し、皮下脂肪の厚さを計測できる「皮下脂肪厚計」を発売すると2日、発表した。流通量の多い針の短い注射器でワクチンを接種する際、針が筋肉まで届くか判断する医師からの引き合いを見込む。医療現場でワクチン接種がスムーズに進むよう支援する。米ファイザー製ワクチンなど、コロナワクチン用には筋肉注射用の針の長い注射器が必要とされる。一方、日本で多く流通している皮下注射用の針を使う試みもある。宇治徳洲会病院(京都府宇治市)は3月、インスリン用の注射器を使ってワクチン1瓶から7回接種分を採取できると発表した。タニタはこうした針の短い注射器を医師がコロナワクチン接種に使うケースを想定し、皮下脂肪の厚さを手軽に計測しやすくした。発売は6月1日でまずは2000台を製造する。同社は従来、皮膚と筋肉の間の皮下脂肪の厚さをはかれる計測機器をダイエットや筋トレをする人向けに販売していた。宇治徳洲会病院の発表後、皮下脂肪厚計を手掛けるタニタに医療関係者から問い合わせが相次いだという。製品発表の会見で登壇した谷田千里社長は「急きょ商品化を決定した」と話した。新しく発売する「SR-903」は、既存の健康管理用の製品の機能を絞りワクチン接種現場での使い勝手を良くした。まず、測定の前に性別を選択するステップを省略した。また、測定後に皮下脂肪の厚さを判定して腹部のイラストとともに表示する機能も除いている。計測にかかる時間は約5秒。医療機器ではないため「使用の判断はあくまで医師に委ねる」(同社)という。皮下脂肪の厚さを測るにはエコー検査をする方法もあるが、操作に専門性が求められる。また、具体的な数値で厚さを示すのではなく表示された画像をもとに厚さを計測する。タニタは皮下脂肪厚計のシンプルな操作で計測できる点を強調する。同社のウェブサイトのみで一般販売する。予約販売を受け付け、価格は9900円。主に医師からの需要を見込む。

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