テルモは8日、同社の薬剤自動投与デバイス(器具)と協和キリンの薬剤を組み合わせた製品の臨床試験(治験)が完了したと発表した。抗がん剤治療に伴う感染症を防ぐ薬剤を患者が自宅で投与できるようになる。薬剤と装着式のデバイスを組み合わせたコンビネーション型の医薬品として、協和キリンが2021年7~9月に製造販売承認を申請する。治験は協和キリンが抗がん剤治療中の患者30人を対象に国内で実施した。抗がん剤の投与後に白血球が減ることで起こる感染症を防ぐ協和キリンの薬剤「ジーラスタ」と、テルモの薬剤自動投与デバイスを組み合わせて製品の安全性を確認した。この結果をもとに厚生労働省に製造販売承認を申請する。ジーラスタは14年に発売された。これまでは抗がん剤治療を受ける患者に対し、治療の翌日以降に医療機関で注射によって投与してきた。今回のデバイスを治療日に患者の体に貼り付けておけば、翌日以降に薬剤が体内に自動投与されるため、来院の手間を省ける。デバイスの形状については現時点で明らかにできないとしている。海外では同様の目的の薬剤自動投与デバイスを米アムジェンが提供している。テルモは薬剤に合わせた注射器などの投与デバイスを製薬会社と共同開発し、薬剤を充填して納める開発製造受託(CDMO)事業に力を入れている。特長あるデバイスの開発や生産設備の増強を通じ、関連売上高を5年以内に2倍に高める計画だ。