血液の難病「遺伝性再生不良性貧血」の原因の一つが、二つの酵素の遺伝子異常であることが分かったと、京都大や英ケンブリッジ大の研究チームが発表した。病気になる仕組みの発見により、新たな治療につながる可能性がある。論文は4日、米科学誌に掲載される。
遺伝性再生不良性貧血は子どもの難病。骨髄で血液をつくる造血幹細胞が減少し、白血球や赤血球、血小板が減る。白血病に進行することが多く、骨髄移植が必要になる。
研究チームは、再生不良性貧血患者の細胞の提供を受け、全遺伝情報(ゲノム)を解析。「ADH5」と「ALDH2」の二つの酵素の遺伝子異常によって、体内で作られる毒性のホルムアルデヒドを分解できず発症することが分かった。
ALDH2の異常は日本人の半数が持ち、酒が飲めない体質になる。研究チームの高田穣京大教授は「従来、診断が付かなかった患者に正しい診断ができる」と話した。患者から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、治療薬の開発を進めているという。 (C)時事通信社