血管細胞から「肝臓のもと」=急性肝不全治療に応用期待―九大など


九州大などの研究チームは、ヒトの血管内皮細胞を遺伝子導入で「初期化」する「ダイレクトリプログラミング」という手法を用い、肝臓や胆管の細胞のもととなる肝前駆細胞の作製に成功したと発表した。この細胞から分化させた肝細胞は、急性肝不全のマウスへの移植で治療効果を示した。論文は21日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
 一度分化した細胞を初期化して目的の細胞を得る方法としては、人工多能性幹細胞(iPS細胞)があるが、どんな細胞にもなれる半面、がん化のリスクがある。また、目的の細胞にするのに時間がかかり、急速に肝機能が失われる急性肝不全では間に合わない。
 九州大の鈴木淳史教授らの研究チームはiPS細胞を経由せずに直接目的の細胞を得るダイレクトリプログラミングでヒト肝細胞の作製に成功していたが、増殖能力がなく、多数の細胞が必要な移植治療への応用は困難だった。
 そこで、肝前駆細胞の作製を目指して初期化に使う遺伝子の組み合わせを探索。血管内皮細胞に三つの遺伝子を導入する方法で作製に成功した。 (C)時事通信社

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