日立、再生医療の情報管理サービス ミスなく事業者連携


日立製作所は再生医療の実用化に向けて、培養細胞の生産や物流といった重要情報を管理する基盤(プラットフォーム)を開発した。細胞の採取から投与まで全ての工程における情報を記録し、追跡できるようにする。製薬企業などのあらゆる関係事業者が使える国内初の共通サービスとして、2021年から実用化する。成長が見込まれる再生医療市場で、最も代表的な情報管理サービスを目指す。再生医療では、患者自身の細胞を培養して製品を作るため、細胞の提供者と投与する患者が厳密に一致しなくてはならない。そのため、細胞を製剤化して運び、最終的に投与するまでの各段階で、厳密なトレーサビリティー(生産履歴の追跡)管理が求められる。日立のサービスはこれらの情報をクラウドで一元的に管理する。製薬企業や医療機関、物流企業など関連する全ての事業者が使える情報管理基盤としては日本初という。再生医療等製品の輸送技術に強みを持つ医薬品卸大手のアルフレッサなどと共同開発した。21年から運用する予定で、25年にはアルフレッサを含め20社程度の利用を見込む。各社は自前のシステム開発や利用するシステムの違いによる煩雑な対応が不要となり、迅速かつ安全に情報管理できるようになる。あらゆるモノがネットにつながる日立独自のIoT基盤「ルマーダ」のサービスの1つとして医療業界向けに展開する。同社の生産支援システム「IoTコンパス」を使い、製造業で培ったノウハウも生かす。細胞の個体識別に加え、各工程の設備の稼働状況や在庫情報も把握して、生産工程の効率化にも役立てる考えだ。今後、希少疾病向けの高額薬などスペシャリティー医薬品への拡大や、海外展開を視野に入れる。医療技術の進展とともに厳密な情報管理の必要な医薬品が増えるなか、様々な企業や医療機関が扱いやすい共通システムの需要は世界的に伸びるとみている。

関連記事

ページ上部へ戻る