◆非臨床試験の実験動物でサルの調達が難しくなっている。新薬開発では動物実験データが臨床試験で再現されず、開発失敗が相次ぐ。ヒトと遺伝子学的に近いサルの需要が高いため、製薬企業などが確保に急いでいる
◆日本実験動物協会がまとめた調査では、全体的に実験動物の使用数が減る中、サルとブタの需要が高かった。サル試験は抗体医薬品の毒性試験で多く用いられ、医薬品開発では欠かせない動物種となる
◆この数年でサルの需要拡大と供給不安が同時に起こっている。バイオベンチャーが抗体医薬品開発に参入し、買い手は増えたが、動物福祉の観点から定期航空便などの輸送ルートでは調達が難しくなり、最大の調達先となる中国は供給を制限している
◆米国製薬企業は、比較的価格が安い幼若ザルを購入するなどの動きが進んでいるとも聞く。患者に必要な薬を届けるためには、臨床試験の前段階でのリスク予測が必要。国内製薬企業などが動物福祉に配慮し、研究に必要な実験動物を利用していく仕組みを考えるべきだ。