【彩の国にいる37人の薬剤師】自律神経免疫療法で患者に提案 鴻巣薬剤師会・福島利和さん


<私ってこんな薬剤師>東洋医学を得意として、患者に対応する薬剤師<かかりつけ薬剤師像>患者さん主体に考える薬剤師<趣味>旅行「相談薬局としての接客が楽しいですね。『どうなさいましたか?』から始まり、『私にどうしてほしいのか、私はどうしたらいいのか』というやりとりを基本に信頼関係につなげています」。こう話すのは、鴻巣薬剤師会の元会長で現在は顧問を務める福島利和さん。1926年に鴻巣市内で創業した福島薬局3代目の主で、72歳でありながら現役の薬剤師として活躍している。75年3月に東北薬科大学薬学部薬学科(現東北医科薬科大学)を卒業。薬剤師だけではなく、鍼灸師の資格も持つ。自律神経のバランスを整え、自然治癒力・免疫力を高める「自律神経免疫療法」を基本に、病気の成り立ちを聞き、漢方薬、自然薬、天然薬、はり・きゅうの知識を使って患者に適した治し方を提案する漢方相談室を特色としている。処方箋調剤が全盛となった現在でもその歴史を受け継ぐ。福島さんが薬剤師になった75年と言えば薬局・薬店(薬種商)の時代。漢方相談薬局でありながら、一般用医薬品から歯磨き、化粧品、ミルクなどの育児用品、ドリンク剤、日用雑貨を定価で販売。75年から平成年間に続くこの15年間は「何でもよく売れた」という。89年頃から医薬分業が始まり、鴻巣薬剤師会会長として長野県上田市などを視察し、面分業による処方箋調剤への準備を進めた。鴻巣市内の病院にも薬局に処方箋を出すよう説得に当たった。門前薬局による処方箋調剤が進みつつある頃に、福島薬局でも福島さんと薬剤師である夫人、長男、長女の家族4人で処方箋調剤による面分業に取り組んだ。しかし実際、処方箋調剤に舵を切ると、理想としていた医薬分業の姿はなく、事務的・機械的に処方箋を応需して調剤するだけの“経済分業”という冷たい現実と向き合うことになる。当然、患者からの相談よりも処方箋調剤、「ヒトよりモノ」が優先されることとなり、薬剤師の職能を生かせる機会は失われた。「はっきり言ってものすごく儲かりましたよ。でも、調剤に取り組んで最終的には空しさしか残らなかった。家族4人の皆がそう感じた。紙の処方箋に対して薬を増やすことも減らすこともできなければ、処方内容を変えることなんて絶対にできなかった」相談薬局が強み多くの生活習慣病患者が処方箋を持って来局し、調剤して薬を渡した。それでも「治った、良くなったという患者さんに会えなくなった。これが決定的だった」と処方箋調剤との決別を決断。やりがいを追求し、漢方相談薬局に回帰した。「従来からの相談薬局としての接客が楽しい。最も大切なことは患者さん主体に考えること」。初めて来局する患者であれば、病気が起こった原因を一緒に考え、治し方の提案まで1時間半~2時間かけて相談に対応する。患者からの相談に対応するたびに、薬剤師であることの誇りを感じている。鴻巣薬剤師会については「素直で謙虚な方々ばかりの協力により、円滑に事業が進められています」と目を細め、自身の5年後の姿は「45年にわたる学校薬剤師職務は続けられれば」と薬剤師の責任を全うする覚悟だ。趣味は旅行。夫婦で月に1回は国内各地に出かける。お気に入りの場所は沖縄で「リゾートホテルが好きでいろんなホテルに泊まっています。気持ちがリフレッシュされますね」。仕事の活力の源泉となっている。

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