シスメックスは27日、がん患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」で、解析結果のほか患者の既往歴なども同時共有できる専用システムの提供を7月中に始めると発表した。治療法を複数の医師らで話し合う専門家会議「エキスパートパネル」で共有できるようにする。会議で解析結果の議論を効率化し、適切な治療方針の策定を後押しする。同社のがんゲノム検査法は、がん細胞中のがんとの関連が強いとみられる遺伝子の114領域を調べ、遺伝子の変異から個人に最適な治療法を探るもの。国立がん研究センター中央病院(東京・中央)と共同開発した「NCCオンコパネル」が2019年6月から保険適用された。ただNCCオンコパネルの検査結果を実際の治療に役立てるためには、病理学やがん薬物療法の専門家など複数の医療機関に所属する医療従事者らの議論が必要となる。従来は測定結果だけが共有できたが、新システムでは患者の病状なども同時共有し、医師らの治療法の議論を効率化する。データはクラウド上にあり、専用IDとパスワードを入力すると患者情報を照会できる。会議に参加する専門家らの参加日程の調整も可能という。