名古屋大は25日、心臓の動きが低下する難病「特発性拡張型心筋症」の新たな治療法として、患者の心臓の形に合わせた矯正ネットを装着して拡張を抑える医師主導治験の1例目を実施し、心機能が改善したと発表した。検証的治験を経て2027年度中の実用化を目指す。特発性拡張型心筋症は心臓の収縮する力が低下して左心室が拡張し、心不全につながる。国内の認定患者は21年度時点で約1万9千人。重い場合は心臓移植が必要になるが、ドナーは不足している。名古屋大の秋田利明特任教授は、左心室側のみをネットで覆って拡張を抑制する方法を開発した。名古屋大で実施した治験では、60代男性患者の心臓の形に合わせたネットを作製。今年6月、専用の器具を使って心臓にかぶせ縫合した。装着後は左心室の容積が小さくなり、心機能も改善した。順調に回復して約2週間で退院した。治験は東北大や大阪大など計5施設が参加。