洗える抗菌キーボードも登場 抗ウイルス、衛生用品市場が拡大


新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、マスクをはじめ消毒、抗ウイルスのための衛生対策商品への関心が高まる中、抗菌効果をうたったフィルムや建材、洗えるキーボードにも注目が集まっている。医学、薬学研究の盛んな大学が集まることで共同研究を進めやすく、製薬企業も集積する関西では、衛生関連企業のほかに、ものづくり企業が開発した商品も目立つ。新型コロナだけでなく、感染症の拡大防止の第一歩には衛生環境の改善が欠かせない。新しい衛生対策商品の登場に期待が高まる。真っ白なパソコンのキーボードを水槽に浸し、ごしごし洗っても元通りに使えます-。今年2月、医療関係者などが集まる展示会が大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれ、兵庫県三田市に本社を置くトキトレーディングのブースが注目を集めた。同社が扱う「防水抗菌キーボード」と「防水抗菌マウス」はシリコーンゴムがキーボード全体を覆っており、洗浄やアルコール消毒が可能。武弘幸子社長は「病院や高齢者福祉施設で不特定多数の人が使うパソコンは菌やウイルスを媒介するリスクがある。新型コロナウイルスの感染が急速に広がる中、不安を抱えておられる方のお役にたてれば」と話す。フィルムコーティングメーカーの東京セロレーベル(京都市)のブースでは、開発中の「抗ウイルス プロテクトフィルム」を展示。フィルムに抗菌処理を施し、手すりやドアノブ、またはタッチパネルなどに貼るだけで感染対策になるような商品を開発中という。営業開発部の三原崇弘課長は「医療関係者以外からも興味を持ってもらった。秋の発売を目指したい」と話す。一方、3月中旬にも、大阪の中小企業を支援する機関、大阪産業創造館(大阪市中央区)の主催で、衛生関連企業を集めて「衛生技術展 2020」が開かれる予定だった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために中止となったが、出展予定だった企業の多くには今、問い合わせが相次いでいる。除菌剤を扱うメーカーは「これまで取引のなかった企業や個人のお客さんからの問い合わせへの対応に毎日追われている」。洗浄剤やせっけんを扱うメーカーの一つも「2月、3月と注文が殺到している。商機だと思うが、生産が追い付かず、実際の売り上げにどれだけ貢献するかはわからない」と明かす。平成21年、新型インフルエンザが世界で猛威をふるったころから、国内では感染防止のための衛生対策への関心が高まり、他業種の企業が関連商材の開発に力を入れるケースが増えた。塗装メーカーの日研工業所(大阪市生野区)は、27年から抗菌効果をうったえるコーティング技術を売り出しており、現在、新型コロナウイルスを不活化できるコーティングの開発を急ぐ。また、太陽光や電灯の光が当たると表面に酸化力が生まれ、有害物質を分解する光触媒の仕組みを利用した抗菌コーティング剤を開発している素材メーカーのユニケム(京都府精華町)も、「特殊な構造を持つ光触媒を利用したコーティング材料を産学連携で開発している。一般に使用しやすいようスプレー形態での製品化も検討している」と意欲的だ。建材メーカーの城東テクノ(大阪府枚方市)も、昨年秋から発売している抗菌樹脂枠の売り上げが好調という。大阪産業創造館の担当者は「大阪には製薬企業が集積していることも影響して、医療や健康、衛生関連の事業も多い」と指摘。さらに「関西には医療系の研究機関が集まっていることも共同開発を促している。新型コロナウイルス感染拡大を受けて衛生技術分野への他業種からの進出も増えるのでは」と話している。

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