先端光る医療用チューブ開発 挿入位置、皮膚越し目視 自動車部品治工具の菅造型工業


自動車部品治工具製造の菅造型工業(焼津市)が、体内に挿入した医療用チューブの位置が分かる装置を久留米大医学部(福岡県)と共同開発した。光ファイバーのチューブ先端が強く光り、皮膚越しでも目視で確認できるのが大きな特徴。治工具製造で培った超精密加工技術を医療機器製造に活用した。
 口から栄養や内服薬を摂取できない患者に対して、鼻から胃にチューブを通して栄養剤などを注入する際に使われる。装置は主に光源の出力機器と、先端に特殊加工を施した光ファイバーのチューブで構成。胃の中に達したチューブ先端の光は体外から確認できるため、誤挿入のリスクを大幅に低減する効果が期待できるという。
 チューブ先端の位置確認はこれまで、エックス線撮影などに限られていた。患者や医療従事者に高負担を強いるほか、誤って気管支や肺に挿入してしまう医療事故も度々、発生している。
 同社は、2008年のリーマン・ショックを機に事業の多角化を図り、医療機器分野に参入した。装置は医療機器メーカー大手を通じて、早ければ21年末ごろに発売する予定。初年度は15万台の販売を目指す。
 既に特許を取得し、医療機器販売の新会社MDIも設立した。望月学社長は「ここまで来るのに10年。大変な思いをしてようやく、実になった。多くの患者と医療従事者の負担を減らすために、一日も早く医療現場に届けたい」と話す。

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