重症児デイサービス 上越に初開設 医療的ケアを支援


重症心身障害児を対象としたデイサービス施設「Sora(ソラ)」が、新潟県上越市寺町の福祉交流プラザ内に開設された。重症児の中でも、人工呼吸器などによる医療的ケアの援助が欠かせない子どもに対応し、療育する施設は上越地域で初めて。重症児やその家族を支える環境の乏しさに問題意識を抱き、施設を立ち上げた女性は「ケアに追われ、休息できない家族と、一緒に子育てをしていきたい」と力を込める。 Soraは、看護師で保育士の寺尾明美さん(39)が理事長を務めるNPO法人「ギフテッド」(上越市)が運営する。未就学の重症心身障害児の児童発達支援、18歳までの就学児の放課後等デイサービス(放デイ)などを行う。1日5人定員で、職員が子どもに1対1で対応するのが特徴だ。施設名には「空のように垣根のない社会を実現したい」との願いを込めた。 病院で働いていた寺尾さんが2年前、障害児らを相手に始めたボランティアがSoraの設立につながった。遊びを通じ、子どもと触れ合う中、関係者から「ここに来られない重症の子どもにも目を向けて」と熱望された。 県障害福祉課によると、放デイ施設は4月1日現在、県内に179カ所あり、近年増加している。一方、その中で重症児を預かることができる施設は1割程度で、開設が思うように進んでいない。 寺尾さんは、医療的ケアが必要な子どもの親は夜間も痰(たん)の吸引などで休めず、心身共に疲弊している現状に気付かされた。自身も4児の母であり、「(一般に)子どもが成長するほど親の負担は減るが、障害児の親は休めない状況がずっと続く」と感じ、開設を決意した。 昨年10月、「全国重症児者デイサービス・ネットワーク」(名古屋市)に相談し、開設のノウハウを教わった。場所探しが難航したものの、市の協力もあり、福祉交流プラザ内の1室を改装した。 4月にあった内覧会には上越市内外から見学者が訪れた。重症児を育てる上越市の主婦(39)は「親が老いていく中、子どもの自立を進めるには、こうした施設がないと難しい」と話し、開設を喜んだ。 寺尾さんは「重症児を預けることに罪悪感を抱く親は多いが、休息は誰しも必要なもの。苦しい現状が理解され、預け先の充実につながればいい」と話した。

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