変異株急増の神戸市、独自でウイルス解析可能に すでに74人確認


新型コロナウイルスの変異株感染が全国で広がりを見せる中、神戸市での感染確認は今月4日までに74人と急増している。市の検査数が国の検査目標数を大きく上回っていることが一因とみられるが、それを可能にする検査の態勢と能力も注目を浴びている。(三島大一郎)神戸市は1月、市内の新型コロナの新規感染者に対し、独自に変異株調査を開始。4日までに1133検体を調べ、74人の感染を確認した。一方、厚生労働省のまとめでは、都道府県別の検出数(確定値)は今月9日時点で大阪府62人▽埼玉県41人▽兵庫県38人▽新潟県32人-など。発表までの調整に時間がかかるため、神戸市分が兵庫県分を上回る事態になった。変異株の日本での感染力は未解明の部分が多いが、市は感染者「急増」の背景に、検体収集の強化と、市環境保健研究所の国立感染症研究所(東京)並みの検査能力を挙げる。国は全国の地方衛生研究所に対し、新規感染者の5~10%に変異株の検査をするよう要請。一方、神戸市は6割以上を検査している。市保健所は昨春以降、PCR検査を行う医療機関などに検体収集の協力を要請しており、各機関との連絡・調整や検体を配送するシステムを構築したことが現在の検査数につながった。さらに市環境保健研究所は昨夏から、新型コロナウイルスの設計図「ゲノム」の解析を独自に開始。国立感染研に検体を送らずに、2日程度で変異株の感染を確定できるようになった。国立感染研を通せば、1週間程度は必要という。ゲノム解析は専門的な技術と時間が必要だ。このため独自に実施している地方衛生研究所は全国でも限られているという。市の研究所には感染症の専門家6人を含む9人の研究職が在籍。当初は国立感染研に検体を送っていたが、徐々に単独でゲノム解析ができる態勢を整えたという。神戸では1987年、国内で初めてエイズ患者が確認された。2009年には新型インフルエンザの国内発生第1例が出た。市の担当者は「感染症への意識が高いことも影響しているのではないか」と分析する。神戸市内では1月以降、変異株が中心とみられるクラスター(感染者集団)が施設などで3件発生しており、市の危機感は強い。担当者は「神戸で目立つ英国型は感染力が強いとされる。これまで以上に対策の徹底を」と呼び掛ける。【特集】目で見る兵庫県内の感染状況

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