浜医大病院「敷地内」に薬局 静岡県内初、杏林堂が調剤センター


浜松医科大付属病院(浜松市東区)に4日、ドラッグストアの杏林堂薬局(中区)が調剤センターを開設する。同社によると、「敷地内薬局」は静岡県内初。患者の利便性が高まるとされ、県立総合病院(静岡市葵区)にも近く整備される。
 医薬分業として医療機関と薬局は隔てるのが原則だったが、国は2016年の規制緩和で敷地内薬局を認めた。処方箋を受け取った後、薬局で医薬品を購入する患者は遠回りの必要がなくなり全国で導入が進んでいる。同大は職員宿舎建て替えに合わせ、事業者提案施設を公募。杏林堂薬局などの共同事業体が提案した敷地内薬局を採択した。
 調剤センターは地下1階地上2階建て、延べ床面積は932平方メートル。最新の自動調剤機器を導入し、無菌室や抗がん剤用のハザード室など高度な調剤施設を完備する。担当の小杉知之上席執行役員は「他の薬局と共同利用したり、薬学生の実習に使ったりして地域の拠点施設の役割を果たしたい」と話す。
 県立総合病院も整備に向け事業者を公募。開設時期は未公表だが、優先交渉権を持つ事業者は日本調剤(東京)に決まった。
 敷地内薬局は土地や建物の賃料が入り、病院経営の利点になる。一方で「医療機関と薬局の関係が密接になり、医師の処方箋をチェックする薬剤師の役割に影響が出ないか」(県薬剤師会の関係者)との指摘もある。
 大学病院や公立病院など地域医療の中核を担う総合病院の近接地では、複数の「門前薬局」が営業。「門内薬局」と呼ばれる敷地内薬局は立地の優位性が高まるとみられる。

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