<聞きたい 新型コロナウイルス>症状出たらまず電話相談 北海道医師会長・長瀬清さん(81)


新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査が6日から公的医療保険の適用になり、医師が必要と判断すれば保健所を通さず検査できるようになりました。これにより、道立衛生研究所など公的機関での検査に加え、民間の検査会社でも新たに可能になりました。ただ、検査件数がすぐに増えるかというと、そう簡単ではありません。現状で検体を採取できるのは、感染予防対策の整った医療機関に限られています。検査では患者のたんや咽頭をぬぐった液を採取します。この時、医療従事者が感染する可能性があり、マスクやゴーグル、防護服の着用が必要です。しかし、こうした医療資材は全国的に品薄で、十分確保できる医療機関は多くありません。検査用に限らず、医療資材の不足も深刻です。道内の医療機関からは「マスクや消毒剤が足りない」という声が上がっています。国は医療機関や高齢者施設を優先するように動き始めていますが、医師会としても道を通じ、国に配布の要望を引き続き行っていきます。感染拡大に伴い、目下の課題はベッドをどう確保するかです。道内の結核病床は、空気を陰圧にするなど感染症対応となっており、受け入れ可能です。ただ、患者が爆発的に増えたときに足りなくなる可能性があり、一般病床の活用も考えなければならない。その際は、感染者と一般患者が混在しないよう、病棟全体を感染者対応とするのが望ましいのですが、そうした対応は大規模病院でないと難しい。どこが受け入れるかなどは現在、道が中心となって調整しています。避けるべきは医療機関内での感染です。体調不良や感染を疑う場合はいきなり病院を訪ねるのではなく、まず保健所などに電話してほしい。かかりつけ医を受診する際も、発熱が続くなど症状がある時はまず電話で相談です。ほかの患者や医療従事者にうつすリスクを減らすために徹底してください。道内でも感染患者が増え、かつてない事態になっています。地域医療体制を維持するためにも、一人一人が基本的な感染予防を行うことに加え、医療機関へのかかり方にも注意してもらいたい。(聞き手・久保田昌子)

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