手足の震えや体のこわばりが起こる難病・パーキンソン病の最新治療を行う診療部門「パーキンソン病センター」が9日、鳥取医療センター(鳥取市三津)に開設された。症状が進行し薬が効きにくくなるのに対応した治療や、治療のために体に埋め込む装置の点検も可能で、幅が広がる。同病院によるとパーキンソン病の専門的な診療部門は中国地方で初めてという。パーキンソン病は脳内で情報を伝える神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞が減って起きるとされ、根本的な治療法はない。県健康政策課によると、県が認定した患者は808人(2019年度末)と増加傾向で、県内の指定難病患者の中で最も多い。患者は40代以上で75歳以上が507人に上る。センターでは、県東部で初めて小腸に直接投薬する治療が可能になった。症状が進行し飲み薬が効きにくくなることに対応し、一定濃度で投薬できることで、自分の意思に反して体が動く症状を抑える。直接投与のための手術や在宅指導もサポートする。また、脳に電気の刺激を与えて症状を緩和する「深部脳刺激療法(DBS)」の患者に対し、機器の調節を受け付ける。脳神経内科医9人、専門の看護師8人、理学療法士、薬剤師、臨床工学士といった幅広い職種が連携して計約30人体制で治療に当たる。患者や家族が悩みを相談できる窓口も新設し、内容に応じて医師や看護師が受け付け、助言も行う。同病院は2016年から患者が症状に合わせ短期入院して2~4週間リハビリを受ける取り組みを実施してきた。土居充センター長は「患者の笑顔があふれる環境にしたい」と話した。センターは、電話0857(59)0209。