通院介助ある人は死亡率低く 山形大医学部、人とのつながり重要性調査


山形大医学部は30日、ソーシャル・サポート(社会での人とのつながり)と、死亡率との関連を考察したコホート研究の成果を発表した。体調不良時に通院介助がある人の方が、いない人より死亡率が小幅ながら低くなった。日常生活における人とのつながりや助け合いが健康維持で大切になる。ソーシャル・サポートには構造面(同居家族や友人、地域活動への参加など)と機能面(相談相手、日常生活や通院への援助など)があり、今回は機能面と死亡率の関連を調べた。対象は山形市など7市の40~74歳の特定健診受診者で、2009~15年までの計1万6651人から有効回答を得た。6年間の追跡期間中の全死亡(心血管疾患を含む)、狭心症や心筋梗塞など心血管疾患による死亡の割合を評価した。体調不良時の通院介助者について、それぞれ5年目の追跡結果で、全死亡においては「いる」とした人の生存率が98.4%で、「いない」は97.5%だった。心血管疾患による死亡のケースでは「いる」が99.7%で「いない」は99.2%。ともに差は小さいが通院介助がいない人の方が死亡率は高かった。長期的な調査を続けた場合、差が広がる可能性もあるという。このほかソーシャル・サポートの数値が低いのは男性の独居で高学歴者の割合が高い傾向にあるという。山形市の山形大医学部で30日、上野義之学部長や宇津木努同学部付属病院看護師長、今田恒夫教授(公衆衛生学)らが記者会見に臨んだ。今田教授は「人とのつながりと病気の発症、寿命との関連について科学的な評価は難しかった。今回の研究は意義深い成果」と強調。宇津木看護師長は「孤立状態は不健康に至りやすい。新型コロナウイルス禍だからこそソーシャル・サポートの維持、向上に努めてほしい」と話した。>>山形新聞トップ >>県内ニュース >> 社会

関連記事

ページ上部へ戻る