郡山女子大(郡山市)は葛尾村民の健康づくりや生活習慣病の予防、改善を支援する取り組みに乗り出した。栄養管理や食品成分分析などの専門的な知識を持つ同大の教員が、村民の健康状態と食生活の関連を調査・分析し、効果的な栄養指導につなげる。村の特産品「エゴマ」を使ったレシピも作り、健康増進に生かす。活動の第一段階では、同大食物栄養学科の教員と村が食物摂取頻度調査と健康診断を実施した。健康な住民と糖尿病や高血圧症など生活習慣病患者や予備軍の日常の食事、生活実態を解析する。結果を基に、具体的な栄養指導や料理教室の開催などを繰り広げ、食生活の改善、習慣付けに役立ててもらう。同大は村内で、高い健康効果があるとして注目されているエゴマの栽培拡大や高品質化に取り組んでいる。村民の健康促進に向け、動脈硬化を抑える作用を持つ成分などを含むエゴマを日々の食事で手軽に取り入れられるメニューを考案し、周知する。同大の岡部聡子准教授は「村の保健師などと連携しながら効果的な健康指導に結び付けたい」と話している。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生後、県内では健康指標の改善が課題となっている。福島医大が葛尾村民四百七十一人を対象に実施した健診結果の分析によると、肥満者の割合は震災前は33%だったが、震災後は45%に増加した。高血圧者は50%から62%に増えた。村は原発事故に伴う避難で生活環境が変わったことなどが健康指標の悪化の背景にあると見ており、村を挙げてさまざまな健康事業に力を入れている。