福岡市は26日、新型コロナウイルス感染症対策として、介護従事者を対象に、PCR検査を受けた場合の費用の一部を助成する方針を固めた。高齢者施設は感染拡大のリスクが高く、介護職員の検査を受けやすくすることで感染拡大を防ぐ狙いだ。
介護施設などで働く職員が公的な医療保険が適用されない自由診療でPCR検査を受けた場合、自己負担1万円を控除した金額を全額負担する。例えば、3万円で検査を受けた場合は1万円を除いた2万円を助成する。
一定の身体接触が必要な介護の現場では、職員と介護施設の利用者が密になり感染が拡大しやすい。利用者には高齢者や基礎疾患がある人が多いため、重症化のリスクも高い。福岡市でも複数の高齢者施設でクラスター(感染者集団)が起きている。市保健福祉局は「若者から家庭内感染などで介護施設職員らにうつり、施設にウイルスが入っているような状況」と分析している。
介護施設では、外部から感染源を持ち込ませないといった取り組みが不可欠だが、無症状で感染者と接触歴もない状況で、PCR検査を希望する場合は自由診療扱いで、費用は全額自己負担となる。数万円の検査費用が発生する場合もあり、市は職務上のリスク回避のために検査を受ける職員については、検査費用を助成することを検討していた。 (塩入雄一郎)