主要な感染症大幅減 新型コロナ対策波及か


県内で毎週定点調査している主要な感染症の咽頭結膜熱(プール熱)、感染性胃腸炎、インフルエンザの患者数が、前年までの過去四年間の同時期と比べ大幅に減少し、最少となっている。新型コロナウイルスの感染防止対策として飛沫(ひまつ)や接触を防ぐ「新しい生活様式」が波及しているとみられる。県感染症対策アドバイザーを務める福島医大感染制御学講座の金光敬二教授はマスク着用や手指消毒など感染防止対策の継続を県民に呼び掛けている。■福島医大金光教授「マスク、消毒継続を」福島民報社が二〇一五(平成二十七)年から二〇二〇(令和二)年までの県感染症発生動向調査報告書のデータを基に分析した。プール熱と感染性胃腸炎は五十の小児科定点医療機関、インフルエンザは八十三の定点医療機関に報告のあった患者数。プール熱は第一週(昨年十二月三十~今年一月五日)から第三十三週(八月十~十六日)までの患者数が四百二十一人で、前年同期と比べて五百四十八人(57%)減少した。感染性胃腸炎は同じ期間の患者数が三千五百二十三人で、前年同期比二千四百九十八人(41%)の減だった。インフルエンザは冬季の感染が多いため、プール熱と感染性胃腸炎と調査開始時期が異なり、シーズン開始の昨年第三十六週(昨年九月二~八日)から今年第三十三週までの患者数が一万九千四十三人で、前年同期と比べ一万八百十二人(36%)の減となった。特に、県内で新型コロナ感染者が初確認された三月七日以降となる第十一週からは、各感染症ともに感染者が激減している。プール熱は二百三十一人で前年同期比69%減、感染性胃腸炎は千三百五十一人で69%減、インフルエンザは九十二人で97%減となっている。県は新型コロナを予防する新しい生活様式の定着に向け、マスク着用や手洗い、手指消毒の徹底、三密(密閉、密集、密接)回避などの感染防止対策の実践を県民に繰り返し求めている。金光教授は「現在進めている感染防止対策は新型コロナに特化したものではなく、飛沫や接触が感染経路となる他の病気にも有効だ」とした上で、「新型コロナ以外の感染症の発生が抑えられているのは対策の効果と考えている。新型コロナを防ぐためにも継続が必要」と訴える。厚生労働省の担当者も「手洗いやマスク着用などの新しい生活様式の定着が罹患(りかん)抑制の一因と推測できる」としている。

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