新型コロナ対応 県内医療機関 防護具供給に問題58%


新型コロナウイルスの感染患者を受け入れる県内の医療機関を対象にした信州大病院(松本市)のアンケート調査で、高性能マスクなどの防護具不足を訴える回答が6割近くに上ることが13日、分かった。医療者らを守る資材の不足が問題化した感染第1波から約4カ月。国は供給システムを整えたとするが安定供給にはなお遠い現状が浮かぶ。感染第2波の対応に追われる医療現場の危機感は強い。
 アンケートを行ったのは、信大病院副病院長で呼吸器・感染症・アレルギー内科の花岡正幸医師(56)。さらなる感染流行に備えるため7月20〜27日、感染症指定医療機関、高度医療機関、協力医療機関計32施設にメールで行い、75%に当たる24施設が回答した。
 医療者が使う高性能のN95マスク、フェースシールド、ガウンなどの防護具について供給に問題があるか聞くと、「はい」と答えた病院が58%(14施設)に上った。特にN95マスクは「信大も含め圧倒的に足りない」(花岡医師)慢性的な不足状態で、医療者が繰り返し使い回す状況が続いているという。
 感染第1波で露呈した供給態勢の不備を踏まえ、厚生労働省は必要に応じて防護具を医療機関に供給する「医療機関等情報支援システム」を運用。1〜3週間以内に備蓄が尽きそうな所には緊急配布も行っており、同省は「地方にもそれなりに配っている」とする。ただ、N95マスクは世界中で需要が高まって「全体量が少ない」上、偽物も出回り仕入れを慎重にせざるを得ないと説明。配布先が全国約7千カ所に上るため、申請から供給までにタイムラグも生じる―とする。
 実際、アンケートでも10施設は充足していると回答したが、どこも安定供給までは望めない状況とみられる。花岡医師は「秋冬に向けさらに患者が増えれば、今は足りている施設でも当然足りなくなるだろう」と懸念している。
 アンケートでは自施設で可能な治療についても質問。中等症以上の治療に必要な気管内挿管による人工呼吸管理ができるとしたのは11施設(46%)、重症患者の救命に必要な体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)があると答えたのは5施設(21%)にとどまった。また、県内で感染者が目立ち始めた3月以降の経営状況について、全施設が収益が悪化しているとした。

(8月14日)

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