聴覚障害者の病院受診、オンラインで遠隔手話通訳 コロナ感染リスクを回避 石川


石川県は、聴覚障害者が病院を受診する際にオンラインで遠隔手話通訳するサービスを始めた。新型コロナウイルスをはじめとした感染リスクから手話通訳者が病院への同行を控える動きがあることを考慮した。スマートフォンやタブレット端末を介して医師らとのコミュニケーションを支援でき、利用者や手話通訳者の安心安全を確保したい考えだ。【阿部弘賢】「39度の熱が続いている。新型コロナにかかっていないか心配」。事業を県から受託する県聴覚障害者協会が11月29日に金沢市内で開いた通訳者向け研修会のデモンストレーションで、患者役がタブレットに向かって手話で症状を説明し、別の場所にいる手話通訳者が医師役に口頭で伝えた。医師役が「ではレントゲン検査と血液検査をします」と答えると、今度は患者役に画面越しに手話で伝えた。通常、聴覚障害者が病院を受診する場合、市町の事業で通訳者に同行してもらえる。しかし、全国的に新型コロナウイルス感染が拡大し、通訳者の感染対策が課題となっていた。県の担当者は「手話通訳者を守るとともに、コロナ禍でも聴覚障害者が引き続き安心して病院を受診できるようにしたい」と強調する。県は、レンタル用のタブレット端末や専用アプリなどの環境整備に800万円の予算を計上。協会が10月下旬から支部を通じて地域の聴覚障害者らにサービスの運用を知らせるとともに、専用アプリをダウンロードしてもらった。また県内で登録している手話通訳者ら向けの研修会も実施した。サービスを希望する聴覚障害者は居住する市町の障害者福祉担当課に申し込む。対応時間は平日の午前9時~午後5時半だが、今年度に限り、新型コロナに感染し、症状が重度だった場合などは時間外でも利用できる。

関連記事

ページ上部へ戻る