三重大病院、専門医プログラム1カ月超停止 診療報酬不正巡り、指導体制崩れ


カルテ改ざんによる診療報酬の不正請求問題があった三重大医学部付属病院(津市)の臨床麻酔部で、専門医を育成するための研修プログラムが10月16日から1カ月以上、停止している。一連の問題で同部の教授と准教授が自宅謹慎となり、教授は別の病院へ転職。准教授も懲戒解雇処分を受け、指導体制が崩れた。医師3人がいまも同病院での研修を希望しているが、研修を受けられない事態が続いている。2年間の初期臨床研修を終えた医師は、目指す専門領域を学ぶための研修プログラムに沿ってさらに3年以上の研修を受け、専門医認定試験を経て専門医になるのが一般的だ。研修プログラムを管理したり専門医を認定したりする日本専門医機構によると、医師免許取得者の9割以上がこの研修プログラムを受けるという。同機構によると、同大医学部臨床麻酔部での研修プログラムには、13人が登録していた。うち10人は不正問題発覚後、十分な研修が受けられないなどとして研修プログラムから離脱した。残る3人は、三重大病院での研修を継続する意思を示している。だが、同機構は「臨床麻酔部で指導を担える新たな教授や准教授がそろわないと、研修プログラムの再開は難しい」との見方だ。三重県内の病院における麻酔科医の充足率は約5割で、全国的にみても低い水準にとどまっている。三重大病院は県内の基幹病院で、医師の人材育成で大きな役割を果たしており、研修プログラムの停止で、県内の麻酔科医不足が深刻化するとの懸念が出ている。日本専門医機構は「早期に研修プログラムを再開できるように、体制を再構築してほしい」と話している。【朝比奈由佳】

関連記事

ページ上部へ戻る