どれぐらいかめばいい?新潟大とシャープが咀嚼計を開発


新潟大歯学部と電機大手シャープが開発した咀嚼(そしゃく)計「bitescan(バイトスキャン)」が、今年のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞した。耳にかけるだけで回数などを正確に計測でき、健康への気づきや生活習慣病予防などの行動変容につなげられる点が評価された。バイトスキャンは、フック状の機器を耳にかけることで、かむ際に動く骨周辺の皮膚との距離の変化をセンサーが感知し、咀嚼を計測する。回数のほかテンポなどのデータがスマートフォンの専用アプリに自動で送信され、確認できる。2016年にシャープの依頼を受け、同大歯学部の小野高裕教授と堀一浩准教授らが、精度確認などの研究で開発に関わった。18年12月に製品化、主に研究機関向けに販売されている。小野教授によると、よくかまずに食べると体重増加のリスクが高まることを示す研究結果もある。日本でも大正時代には「一口30回」が推奨されていたが、日常生活で、かむ回数を正確にはかることは難しく「30回」の根拠はなかったという。バイトスキャンは耳かけ式で目立ちにくく、食事中も正確に計測できデータを集めやすい。このため、測定回数をもとに、健康維持のための正しい目標値を導いたり、高齢者が誤嚥(ごえん)しにくい食品を開発したりすることにつながると期待される。今後は同大医学部と連携し、かむ回数の指導などが生活習慣病患者にどのような変化をもたらすかなどを研究していく。小野教授は「咀嚼行動への気づきを通じ、回数が少ない人や肥満を改善したい人を導くなど、様々な可能性が見えてくる」と期待する。(杉山歩)

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