【明美ちゃん基金】笑ったよ、走れたよ ミャンマー医療支援、命を救った5年間


国内外の心臓病の子供たちを救う「明美ちゃん基金」(産経新聞厚生文化事業団運営)が、国立循環器病研究センター、東京女子医大病院、NPO法人「ジャパンハート」と協力し、2015(平成27)年からミャンマーで実施してきた、先天性心疾患の治療を発展させるための医療支援事業が5年の満期を迎えた。支援はさらに2年延長する方向で調整中だ。これまでに基金の支援で治療を受けた子供は368人。医療技術の向上で救われた命は、その何倍にも及ぶ。失いかけていた未来を取り戻した子供たちは今、新たな人生を歩み出している。(吉国在)「ボー・ジャー・ダナ」ヤンゴン郊外の民家が立ち並ぶ一角で、ミャンマー語のじゃんけんの掛け声が、弾けるような笑い声とともに響いた。学校の帰り道で友達とはしゃぐセイン・ラン・テッさん(11)だ。ヤンゴン中心部から車で約1時間半。1年半前に外科手術を受けたセインさんは今、小さな2階建ての木造家屋に親戚を含め10人で元気に暮らしている。一家は魚の露天商を営むが、手元に残る現金収入はほとんどない。生まれつき4つの心臓病がある「ファロー四徴症」を患っていたセインさんは、8歳のときには息苦しさで1人で歩くことさえ難しくなるまで病状が悪化した。手術をしなければ命を救うことはできないが、高額な手術費も工面できない。家族が苦悩する中、救いの手となったのが基金だった。2018年9月、セインちゃんが外科手術を受けたときの気持ちを、母のドゥ・ラ・ラ・ウィンさん(42)は「宝物をみつけたときのような気分だった」と振り返る。

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