タトゥー(入れ墨)を客に入れる行為が、医師免許の必要な「医療行為」に当たるかどうかが争われた刑事裁判で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は16日付の決定で「医療行為ではない」との初判断を示した。その上で、医師法違反に問われた彫り師の被告(32)について、検察側の上告を棄却。被告を無罪とした2審・大阪高裁判決が確定する。裁判官3人全員一致の意見。タトゥーを巡っては医師法違反による摘発が相次いでいるが、今後は見直しを迫られることになる。被告は2014~15年、医師免許を持たずに、大阪府吹田市の店で3人にタトゥーを入れたとして略式起訴され、その後、正式裁判を求めた。医師法が定める医療行為について、同小法廷は「医療や保健指導に属する行為のうち、医師が行わなければ保健衛生上の危険が生じる恐れがあるもの」との判断を示した。また、「医療行為に当たるかどうかは、目的や相手との関係、社会の受け止め方などを踏まえ、社会通念に照らして判断するべきだ」と述べた。この判断基準を踏まえ、タトゥーの施術について、「美術的な意義がある社会的な風俗として受け止められてきた」と指摘。「美術などの知識や技能を要する行為で、医師免許取得の過程で、こうした知識などを習得することは予定されていない」などとして、医療行為には当たらないとし、保健衛生上の危険は医師法以外の方法で防止するほかないと結論付けた。1審判決は、タトゥーの施術が医療行為に当たるとして、被告を罰金15万円の有罪としたが、2審判決は逆転無罪としていた。