【彩の国にいる37人の薬剤師】管理薬剤師.comを運営する薬剤師 加須市薬剤師会・寺山直樹さん


<私ってこんな薬剤師>勉強が大好きな薬剤師<かかりつけ薬剤師像>面でも成り立つ薬局<趣味>子どもと一緒の時間を過ごすこと「個性的だと言われます。薬剤師として見られることは少ないですね」――。加須市薬剤師会が推薦したのは、加須市内にあるあすなろ薬局南町店で管理薬剤師を務める寺山直樹さんだ。業界では有名な管理薬剤師が調剤報酬や制度を学べるウェブサイト「管理薬剤師.com」の運営者だ。「管理薬剤師は無理」と言われ、2008年に「反骨精神で立ち上げた」という。同サイトには、調剤報酬改定の情報などに加え、入力するだけで調剤報酬を計算できる「調剤報酬計算プログラム」や、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルを散剤として調整した場合の脱カプセル計算が行える「タミフル脱カプセル計算機」、クレアチニンクリアランスの自動計算機など実務に役立つツールが満載だ。もともとは建築家志望だった。立正大学地球環境科学部に1年通ったが、「合わない」と感じて退学し、東邦大学薬学部に入り直した。持病のアトピーで定期的に皮膚科を受診し、薬局にも通っていた。「薬剤師になれば自分の病気が詳しく分かるのではないか」との理由で薬剤師を目指し、卒業後にあすなろ薬局で薬剤師として働き始めた。ただ、薬剤師になってから5年は多難な時期を過ごした。医師に怒られ施設を出入禁止となったり、同僚薬剤師や患者とのトラブルで配属先が1年で5店舗変わるという経験をした。「働ける店舗が一つしかなくなり、背水の陣を敷かざるを得ない時期もありましたね」こんな寺山さんだが、勉強が超が付くほど「大好き」という。薬の勉強については「人間の機能に薬がどのように作用するかが面白い」とはまりこむ。薬剤師として仕事をしていると、病気の原因や薬の使い方、副作用など様々な疑問にぶつかるが、寺山さんは日常業務を行う中で疑問が見つかると、参考書などで必要な知識の吸収を図っている。時間を見つけては「忘れかけた知識を思い出す」目的で薬剤師国家試験も解いてみるのだとか。そこで得られた気づきは実務実習の学生とも共有する。過去の国家試験で出題された問題を例に薬剤師業務を説明し、実習期間中の国家試験対策に役立ててもらう指導法を実践している。会社のロゴ入りユニフォームで欠品の薬を運ぶ「管理薬剤師.com」は、寺山さんが管理薬剤師業務の勉強をするためのメモ帳だった。ホームページ作成に必要なプログラミングのスキルを独学で磨き、国から発出される通知などをホームページに掲載し、頭に叩き込む。自身が勉強を続けるために立ち上げたサイトは、いつしか管理薬剤師を目指す人にとっても有用なサイトになった。サイトの方向性は「自分が業務の中でつまずいた場合や、誰かに聞かれた場合に答えが見つけられるサイトにしていきたい」。当初の目的からブレることはないようだ。実生活では、科学的トレーニングを実践し、自らの体を使って健康増進の効果を検証する。自転車で峠や山を登る「ヒルクライム」にも挑戦し、参加したレースでは年代別3位にもなった。体力を武器に、在宅業務では往復25kmの距離も自転車で薬を届ける。医薬品不足が続く中、欠品対応に汗をかく。「高齢者施設の方からは“自転車のお兄ちゃん”と言われているようですね」

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