オムロン ヘルスケア株式会社(所在地:京都府向日市、代表取締役社長 岡田歩、以下当社)は、インドで心電図解析サービスを開発・提供するTRICOG HEALTH INDIA PRIVATE LIMITED(所在地:シンガポール、CEO Charit Bhograj、以下トライコグ)に出資し、当社の通信機能付き心電計とトライコグの心電図解析AIを組み合わせた遠隔診療サービスの開発に着手します。今回の資本業務提携は、脳梗塞を引き起こすといわれている「心房細動」の早期発見と治療介入を目的としており、インドで増え続ける脳・心血管疾患の発症予防と再発防止につなげます。
写真左:オムロンヘルスケアインディア 商品企画 & 新規事業開発 マネージャー 山本克行
写真右:トライコグ CEO Dr. Charit Bhograj氏
インドにおける死亡要因の1位、2位は脳・心血管疾患であり*1、今後も生活水準の高まりとともに脳・心血管疾患の死亡者数は増加すると予測されています。これらは早期発見と治療により重症化を防げる疾病である一方で、発症すると死亡または麻痺などの後遺症が残る場合もあります。脳・心血管疾患の主な要因のひとつである「心房細動」は約4割が無症状といわれており、自分で予兆を捉えるのは困難です。また、手術後の再発率が約3割ともいわれており、日頃からの心電図チェックが早期発見や早期治療において重要です。さらにインドでは、心電計を導入済みの医療機関が全体の約1割程度、循環器専門医の数は先進国と比べると約20分の1程度にとどまり、充分な検査や治療を受けるのが難しい環境にあります。
*1 WHO, Death of cause (2019) CIA, The World Fact book
今回の資本業務提携により両社は、潜在的に心房細動リスクを抱えている高血圧患者向けの遠隔診療サービス開発をおこないます。このサービスでは、かかりつけ医が患者に家庭での心電図記録を推奨します。患者が家庭で記録した心電図データは、インターネットを通じてトライコグの心電図解析AIに送信されます。これをベースに作成された分析レポートが患者に届けられます。また、異常が確認された場合は速やかにかかりつけ医にアラートが届くのでタイムリーな治療介入につなげることができます。
当社は、「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」の実現を循環器事業のビジョンに掲げています。ビジョン実現に向けて自社開発のみならず、関連企業とのパートナーシップ強化を積極的に進め、世界中のより多くの人々の健康ですこやかな生活に貢献していきます。
■サービス概要
・「心房細動」リスクの高い高血圧患者や心疾患患者向けの遠隔診療サービス
患者は、当社の携帯型心電計HCG-8060Tまたは心電計付き上腕式血圧計HCR-7800Tを使って家庭で心電図を記録します。記録したバイタルデータは当社のスマートフォン健康管理アプリ”OMRON connect”を介してデータベースに格納され、トライコグの心電図解析AIにより解析されます。解析結果をもとにトライコグの循環器専門医が分析レポートを作成し患者に共有することで、患者は自宅にいながら循環器専門医による分析を受けられます。異常が確認された場合は速やかにかかりつけ医にアラートが届くのでタイムリーな治療介入につなげることができます。
■トライコグ社概要
2014年創業、インドを中心に医療機関向けクラウド型心電図解析サービスを開発・提供している。サービスを提供する中で得た累計1,000万件の心電図データと、AI開発チームが継続的に改良している独自の心電図解析AIを強みとしている。社内に循環器専門医を約40名抱えており、心電図解析専門医がいない医療機関などをサポートする体制を整えている。
■トライコグ社CEO Dr. Charit Bhograj氏 コメント
インドでは年間約1,900万人が脳・心血管疾患が原因で亡くなります。しかし、そのうちの半数は、早期発見と最適な治療介入により重症化を予防することが可能だといわれています。オムロンヘルスケアと開発する遠隔診療サービスは、インドで初めて循環器専門医が遠隔で患者の状態をモニタリングできるようになります。オムロンヘルスケアは数十年にわたり血圧計や心電計をグローバルに展開しており多くの顧客から信頼されています。オムロンヘルスケアの卓越した開発技術と、トライコグが蓄積してきた心電図データや心電図解析AIを組みあわせた新たな遠隔診療サービスは、インドだけでなく世界中の人々の生活に影響を与える可能性を秘めていると期待しています。
■オムロンヘルスケアインディア 商品企画 & 新規事業開発 マネージャー 山本克行 コメント
心電図解析ノウハウを有するトライコグとの協業は、当社の循環器事業ビジョンである「脳・心血管疾患の発症をゼロ」をインドで実現するための重要な一歩だと考えています。家庭で記録した心電図データと心電図解析AIによる遠隔診療サービスの開発は、医療設備や専門医が不足するインドでの脳・心血管疾患の早期発見を促進すると信じています。