【薬剤師のスキルアップと生涯学習】薬剤師あゆみの会


新人研修で、オンラインによる講義を行う狭間理事長薬剤師あゆみの会(狭間研至理事長、本部大阪市)は、2001年に任意団体「あゆみの会」として岡山県岡山市で産声をあげ、「質の高いコミュニティファーマシストの育成」を理念として05年に法人化。06年に薬剤師認定制度認証機構(CPC)の認証を受け、生涯研修制度のプロバイダーとして薬剤師向けの様々な研修プログラムを提供している。昨今、薬剤師を取り巻く環境が大きく変化していく中で、果たすべき役割を全うできる薬剤師の育成が社会から求められている。薬剤師あゆみの会では、このような情勢に応えていくために、同会が提供する薬剤師向け研修を見直す方向に舵を切っていく構えだ。同会では、法人設立時より会員企業各社の薬局が抱える課題とその解決に向けた取り組みを研修プログラムに取り入れてきた。特に、会員企業各社の共通課題であった新人、中堅薬剤師の教育など実践的な内容を落とし込んだ上で、共同研修の形で取り組んできた。その結果、会員企業各社から自社の人材育成体系の一つとして高く評価されるだけでなく、自前で新人薬剤師研修を企画実践していくことが難しい小規模の調剤薬局からも同会が提供する研修会への参加が増えつつあるなど、その評判は広がりを見せている。このような状況下、数々の研修を運営する中で気づいた課題解決に取り組み、提供する研修のさらなる向上を図っている。その一つが、研修会参加者が研修で学んだことを実践で生かしやすくする仕掛け作りである。例えば、新人薬剤師が対象となる研修では、入社後2カ月、8カ月、24カ月のそれぞれの期間に研修機会を設定。新人薬剤師が直面するであろう課題をテーマとした研修プログラムを策定している。研修会の開催地についても、当初は大阪や東京を中心に開催してきたが、3年前から岡山市や広島市などでも開催し、地方の会員企業も研修会に参加しやすい研修機会を設けてきた。研修会では法人会員の経営者やベテラン薬剤師が研修会参加者と交流できる場を設け、参加薬剤師の企業バックグラウンドや垣根を越えた仲間としてのつながりや困りごとの相談ができる環境づくりも醸成している。こうした取り組みをさらに充実させようと様々な企画を検討し、実行しようとした矢先に大きな障壁となって現れたのが、新型コロナウイルス感染症である。集合研修そのものの開催を見送ることとなっただけでなく、研修会の特徴である研修会参加者同士、あるいは講師や研修会スタッフとの「仲間」としての意識づくりとなる環境を整えることが難しくなった。そこで着目したのがICT技術の活用だ。オンラインで研修会が開催できるのであれば、受講者も講師も主催者も研修会に参加するための移動の時間とコストを大幅に削減することができる。また、通信環境さえ整うのであれば、受講者の場所を問わず一堂に会することができる。オンライン・ミーティングのツールによっては、講義を中心としたティーチングスタイルからグループワーク等を取り入れたラーニングスタイルの研修まで、幅広い研修会を開催することもできる。さらに、研修会開催後に現場で実践し、課題や工夫を冷めないうちに持ち寄り共有化し、ブラッシュアップしていくことも可能だ。もちろん個別の悩みに対しての相談窓口を設置することで、単に学びの場というだけでなくストレスマネジメントの場としての活用など可能性は広がる。同会では、5月23~24日の2日間、新人薬剤師を対象としたオンライン研修会を初めて開催。会員企業等の9社23人が参加した。オンラインを活用した研修の講師スキルの向上、受講者側の課題や利点を抽出・微修正していくなど、今後の運営に向けた取り組みを進める。11月の認定薬剤師セミナーでも研修会場、オンラインによる同時配信で行う。同会法人会員数(今月7日現在)=正会員12社、準会員5社、法人賛助会員9社。一般社団法人 薬剤師あゆみの会
http://www.ph-ayumi.org/

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