血管の「老化」が糖尿病の引き金? マウス実験で実証


血管の「老化」が糖尿病をひきおこすことを、神戸薬科大学などの研究チームがヒトの細胞やマウスの実験で突き止めた。血管の老化を抑えることで、健康な生活が送りやすくなる可能性がある。加齢で機能が低下した細胞は炎症を起こす物質を出し、様々な病気をひきおこす。その中でも、血管の細胞は重要だ。体内の血管はつなげれば地球2周半にもなるとされ、量が多い。だが、血管の細胞の老化がどう病気をひきおこすかはわかっていなかった。そこで同大の池田宏二准教授(循環器内科)らは、血管の内側の「血管内皮細胞」に注目。若い細胞と、50回近く分裂して老いた細胞から出る物質を比べた。すると、老いた細胞から出る物質によって、脂肪細胞が早く老化し、血糖値を調節するインスリンがはたらかなくなった。膵臓から出るインスリンは、血糖値を調節するため、脂肪細胞に糖を取り込ませる。脂肪細胞でインスリンのはたらきが弱まると糖尿病になりやすくなる。また、血管内皮細胞だけを老化させたマウスは、生後20週の時点でインスリンのはたらきが悪くなった。こうした変化は、通常のマウスだと生後1年ぐらいで起きる現象だ。老いた血管から出る物質が、異常を引き起こしている可能性がある。チームは、血管の老化を遅らせることができれば、様々な病気を減らせると期待する。研究成果は(https://doi.org/10.1038/s41467-020-14387-w)で読める。(後藤一也)

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