北海道の旭川医科大病院は10日、2011年以降に担当医師が、別の医師からの病理組織やコンピューター断層撮影装置(CT)の検査報告書で、がんの疑いを指摘された計8人分について気付かず、結果的に放置したことなどで診断が遅れたと発表した。80代の男女3人が既に死亡、うち1人は救えた可能性が高いとの認識を示した。同病院によると、死亡した残る2人についても診断遅れによる影響は「否定できない」としている。担当医からの依頼に基づき、別の医師が報告書を作成してコンピューターで患者の電子カルテに登録するが、8人については登録そのものに気付かなかった。また、CTの画像で自分の専門領域は確認したが、他部位のがんの兆候を見落とした上で、報告書にも気付いていなかったケースもあった。病院側は「医師の認識不足で、重大なミスと捉えている。登録を通知するシステムもなかった」としている。現在は通知システムを導入して改善した。16年に患者1人の検査報告書の見落としが判明。調査したところ、この患者のほかに計7人の診断遅れが見つかった。発表まで4年かかったことについて病院側は「全て調べた上で、対策とともに報告しようと考えた」と釈明した。記者会見した古川博之病院長は「亡くなった方の冥福を祈る。治療中の方にも多大な心痛をお掛けした。心よりおわびする」と陳謝した。一方、診断遅れがあった患者への補償については明言を避けた。CTなどに関連したミスを巡っては、千葉大病院(千葉市)でも18年6月、患者9人のCT画像診断でがんの所見を見落とすなどし、うち腎がんの60代女性と、肺がんの70代男性が死亡したと発表。さらに19年5月には、同様のミスで60代男性がすいがんで死亡したと発表した。〔共同〕