保健所を強化 大阪市が新型コロナ専従班


新型コロナウイルスの感染対策のため、大阪市が最前線で対応する保健所の体制強化に乗り出した。保健所の感染症対策課にコロナ対応業務に特化した50人規模のグループを新設。これまで通常業務と並行していた感染経路の調査などを専門で担う。業務の役割分担を明確化することで職員の負担を軽減し、感染拡大の第2波に備えるのが狙いだ。5月18日に同課に新設されたのは「新型コロナウイルス感染症対策グループ」。コロナ禍対応の心臓部ともいえる部署で、保健所や市健康局などから集めた51人で構成。保健師12人や医師3人も含まれる。業務ごとにチームに分かれており、院内感染やクラスター(感染者集団)が発生した際の感染経路の追跡などを行う疫学調査チーム▽PCR検査の受診調整を行うチーム▽患者の入院・宿泊療養の調整チーム▽医療機関との調整を行う医師チーム▽各チームの調整やデータ管理を行う企画チーム-の5チームを設けた。これまで同課は、感染症グループと結核グループの2グループ計53人体制だったが、今回のコロナに特化した新グループの設置で3グループ約100人体制に拡充された。市内24区の区役所に置かれている保健福祉センターとも連携しており、松井一郎・大阪市長は「非常事態となっても、余裕を持った形で組織を動かせる」と中枢機能強化の狙いを説明する。背景にあるのは、コロナ対応を担う職員にのしかかる負担の大きさだ。感染者が出れば、濃厚接触者の把握や入院先の調整はもちろん、軽症者の健康観察など保健所が指揮する業務は多岐にわたる。同課でも感染拡大が深刻化するにつれ、業務量が増大。市は保健所を管轄する市健康局を中心に約30人の職員を同課に応援として派遣し、業務支援にあたる緊急態勢を取った。だが、3、4月の状況についてある職員は「異常事態だった」と振り返る。通常業務の一部は後回しにせざるを得ず、ほぼコロナ対応にあたる状態だったという。実際、府内には計18カ所に保健所があるが、6月2日までに府内で確認された感染者1783人のうち大阪市は約4割の737人に上り、対応件数も他の市町村と比べ圧倒的に多い。市によると、24時間で応対する保健所の相談電話にも問い合わせがひっきりなしに寄せられ、4月中旬には1日で約1500件の相談が殺到したこともあった。

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