厚生労働省は、介護保険の被保険者証をマイナンバーカードと一体化する検討に入った。近く調査研究に着手し、自治体や利用者などから意見聴取を行い、2023年度中に議論をまとめる。早ければ25年度にも一部自治体で先行導入したい考えだ。27日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に同省が案を示した。政府は24年秋、マイナカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を打ち出しており、介護保険も一体化を進める。現行の介護保険証は紙ベースで、被保険者が65歳になると自治体から送付される。要介護認定や介護サービスの利用といった手続きの際、自治体や事業者に提示する。厚労省によると、マイナカードと一体化すれば、手続きのため自治体に出向く必要がなくなるなど、サービスの利用者、自治体、事業者にとって利便性の向上につながるという。また、保険証は65歳の人に一斉送付しているが、介護サービスが必要になって実際に使うのは70、80代になってからが多い。そのため、紛失して再発行の手間がかかっている課題もあるという。部会では委員から「利便性が高まり、質の高い介護につながる」など賛成意見が多かった一方、マイナカードを持たない人やデジタルに詳しくない高齢者への配慮を求める意見も出た。厚労省は、こうした人たちへの対策を検討する考えだ。