後期高齢者の応能負担論点に 社会保障審議会・医療保険部会


厚生労働省は9月29日、社会保障審議会・医療保険部会を開催した。議論の中で、医療保険の被保険者間で「負担の公平」が損なわれていることに着目。これを「正しくする」論点について、意見が交わされた。このほか医療保険制度改革の議論をキックオフとし、今後月2〜3回のペースで議論を進めるものとする。「公平」の正し方を模索求められる点となるのは、負担能力に応じて、全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化する観点を踏まえた高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方、被用者保険間の格差是正の方策等について。さらに、国民の負担軽減の観点から医療費の伸びを適正化するため、給付の効率化を含めたより実効的な取組について。特に、後期高齢者医療制度の賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方や、各種制度における負担能力に応じた負担の在り方などの総合的な検討が求められてくる。中でも世代間の不公平感があることを念頭に、「高齢者にも応能の負担をしてもらってはどうか」という点が1 つの争点となった(グラフ参照)。佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)は、「最大の目的は現役世代の負担軽減」とし、「高齢者の保険料賦課限度額の在り方等を見直し、現役世代の伸び率を後期高齢者1人当たりの負担額の伸びとすべし」と述べた。また、藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「生産年齢人口が減少する中、制度の持続可能性低下が避けられない。フリーアクセスのデメリットなどにも目を向け、保険財政にも一定の制約があることを理解してもらうべき」と発言。猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、「支払い能力に応じた負担の検討も必要ではないか」とし、賛同する意見が寄せられた。今後は、社会保障構築会議における提示された論点や骨太や改革工程表で言われた論点などを踏まえ、議論する。その上で改革案は年末、全世代型社会保障構築会議に報告され、結論を待つことになる。

関連記事

ページ上部へ戻る