Q 買い物などで使えるポイントももらえるので、マイナンバーカードを作成しようと思いますが、注意点はありますか。
A 厚生労働省は、5月の社会保障審議会の部会で、現行の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードに統一すること、来年4月から医療機関と薬局にカードリーダー導入を義務づける方針を示しました。
そもそも、医療や介護に関する情報は、プライバシーの中でも特に保護されるべきセンシティブ(機微)情報です。医師には守秘義務が課され、秘密漏示罪(刑法134条)の罰則もあります。これらの情報がマイナンバーに一元化されると、漏れた場合の危険は大きくなります。
また、マイナンバーカードには、顔画像が登載され、医療機関の受付で顔認証システムによる本人確認をします。カードが事実上義務化されると、市民は顔画像の提出を拒むことができません。中国では、顔認証システムが全市民の行動を監視するために活用されています。街頭の6億台のカメラで対象者の居場所を突き止めて、わずか7分で警察が駆け付けたとも報告されています。
日弁連や医師の団体はカードの義務化に反対しています。ポイント目当てにカードを作るべきかどうかは、慎重にご検討ください。
これらの問題を広く知っていただくために、福岡県弁護士会は9月10日午後2時から、医師や学者らによるシンポジウム「『デジタル社会と人権』を考える」を開催します。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で視聴できますので、ぜひご参加ください。 (武藤糾明)