厚生労働省「かかりつけ医」強化 議論


厚生労働省が2月28日に開いた「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)において、かかりつけ医の機能強化を図っていく方向性が示された。高齢者の中心に定着する一方、複数の慢性疾患を有する人が増加する中でのあり方や地域医療での役割分担が検討課題に挙がっている。かかりつけ医の定義は、(1)何でも相談でき、(2)最新の医療情報を熟知して必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、(3)身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する、という3つの要素が挙げられている。2018年度診療報酬改定の結果検証に関する調査では、「かかりつけ医を決めている」と答えた人は全年齢層においては83.3%、75歳以上では96.7%に及んでいる。かかりつけ医へのニーズと役割に関する認識の調査では、医療を受ける側とかかりつけ医側で乖離も見られる。患者のニーズでは「どんな病気でもまずは相談に乗ってくれる」が最多であるのに対し、かかりつけ医機能を有する施設側による、かかりつけ医の認識は「必要に応じて専門医、専門医療機関に紹介すること」が最多。その次に多かった回答は「要介護認定に関する主治医意見を作成する」、「どんな病気でもまずは相談に乗ってくれる」との役割認識は3番目だった。昨年制定された「認知症施策大綱」では、かかりつけ医を含む医療従事者の「認知症対応力向上」が目標の1つに掲げられており、今後、認知症サポート医との連携による認知症診断も増えることが見込まれる。さらに地域包括ケアシステムにおいて、医療・介護連携推進、予防・健康づくり支援も期待されている。今後の医療計画の見直しの中では、かかりつけ医研修の充実や診療報酬上の評価も含め議論していくことになった。

関連記事

ページ上部へ戻る