広島市医師会看護専門学校(西区)が、准看護師を目指す入学者の定員割れに悩んでいる。2020年度は6割を切って過去最低となり、21年度入学の試験の志願状況も低迷が続く。少子化や、看護師を養成する大学、短大の増加などが背景にある。准看護師を志す人を広島県内で最も多く受け入れ、卒業生の大半が地元の医療・福祉施設に就職する同校。「地域医療の担い手を育てる使命を果たしたい」と危機感を募らせている。同校は1952年発足の市医師会准看護婦養成所が前身。現在は2年間の「医療高等課程」で准看護師を養成し、11、1、3月の3期に分けて一般試験を実施している。入学者は01年度から定員(当時350人)を下回り始め、240人とした15年度以降も定員割れに歯止めが掛からない。ここ数年は受験者数の減少も目立っている。20年度は受験者数159人、入学者135人で、いずれも過去最低だった。21年度の志願者増を目指し、同校は昨年、市内外の高校に加え、自動車学校などにも赴いて受験案内を配布。ホームページもリニューアルし、PRに力を入れてきた。しかし、2期の試験が済んだ時点で伸び悩んでいるという。要因について同校は少子化に加え、看護系大学が増えたためと分析。近年、就職環境が好転し、免許取得に時間がかかる看護職が敬遠されることも一因とみる。64年度から准看護師として働きながら看護師を志す人も養成する同校では、近年の両課程の県内就職率は約95%に上る。一方、厚生労働省の調査では、県内の看護系大学の県内就職率は6割を下回っており、同校の杉川雅美副校長は「看護職の人数は決して十分ではない」と強調する。県内の准看護師の養成校は広島、福山、呉、尾道、三原、府中、江田島の7市に計8校ある。志願者確保の課題は共通しており、定員割れが続いていた江田島市の1校は22年3月、三原市の1校は23年3月での閉校を決定した。一部で准看護師の制度廃止を唱える声もあるが、県内では看護職の3割弱を准看護師が占める。広島市医師会看護専門学校では学生の6割が社会人で、「中途から看護現場に立つことを志す人のためにも養成を続けたい」と杉川副校長。今月24日で出願を締め切る3期試験(3月6日)の受験を呼び掛ける。(田中美千子)<クリック> 准看護師 養成に3〜5年を要する国家資格の看護師に対し、2年で都道府県知事の免許取得を目指せる。看護の際に医師や看護師の指示を必要とする点を除けば、看護師と業務の範囲に差はない。看護師と違い、保健師や助産師、専門看護師などの資格は取得できない。