災害時の被災地で薬を調剤できる車両「モバイルファーマシー」を福岡県薬剤師会が導入し、20日、お披露目された。全国で初めて自治体と薬剤師会、医薬品卸団体の3者が協定を結んで運用する。多品目の医薬品を、より迅速に被災地に届けることができると期待される。「動く薬局」などと呼ばれるモバイルファーマシーは、東日本大震災で病院や薬局が被災したことを機に各地で導入が進み、熊本地震や昨年の九州豪雨で活動した。今回は全国20台目、県内2台目となった。キャンピングカーを改造した車両には、錠剤棚や分包機、薬の温度管理をする冷蔵庫など調剤関連の設備を設置した。ソーラーパネルなどで電源を確保する。約1500万円の費用のうち、県が半分を補助。県医薬品卸業協会が保管する。災害発生時は、県が出動を要請し、卸業協会が医薬品を積む。薬剤師が車両に乗って被災地に向かい、疾病治療中の避難者に調剤や服薬指導を行う。県薬剤師会の満生(みついき)清士副会長は「県内も風水害が多く、緊急時に瞬時に対応できるよう研修を積みたい」と話す。(高木智子)