遠隔で脳梗塞予防実験へ 清水区の医師不足解消狙う 静岡市


静岡市が、遠隔で計測する心電計を使った脳梗塞予防の実証実験に乗り出すことが12日、関係者への取材で分かった。市立清水病院(同市清水区)が首都圏の大学医学部と連携し、脳梗塞の原因となる不整脈の一種である心房細動の早期発見、早期治療につなげる。先進医療に取り組むことで、慢性的な医師不足に悩む清水区の医師確保につなげる。2021年度当初予算案に事業費2800万円を計上する見込み。
 心房細動発症が疑われる人が対象。自宅で遠隔計測心電計などの各種デバイスを用いて自身で観察を実施するなどし、データを大学、清水病院、清水医師会所属の診療所で共有し、心房細動の早期発見に結びつける。
 事業費は実証実験を担当する大学教員の人件費や心電計の運用費に充てる。事業に伴い、大学から循環器内科の医師派遣を受ける予定で、人件費は別途、病院事業の特別会計で対応する。
 市が先端医療に乗り出す背景には、慢性的な医師不足がある。先日移転先が決まった桜ケ丘病院(同)も医師不足が移転の最大のネックになっていたが、市立清水病院も同様の課題を抱えている。20年4月から常勤の循環器内科医が不在になり、外来患者数、手術数が減少して収益が悪化している。医師派遣を伴う実証実験は渡りに船と言える。
 実証実験は21年4月から1年間の予定。年度内に市と大学、清水医師会が協定を締結する見込み。

 <メモ>心房細動 心臓がけいれんしたような状態になり、血液が心臓から全身にうまく送れなくなる病気。心臓の中で血栓ができ、脳の血管を詰まらせる脳梗塞の原因になることがある。

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