佐賀県は来年1月から、カード型の障害者手帳の交付を始める。耐久性が向上し、手帳を提示する際の周囲の視線に配慮する狙いもある。対象は身体、療育、精神の3種でカード型か従来の紙の手帳かを選べる。カード型の手帳はプラスチック製で、運転免許証と同じ大きさ。記載スペースが紙のときより狭くなるため、記載内容は障害の種類や等級などにとどまる。従来あった部位などの詳しい傷病名は省略され、新たに導入されたカードのQRコードで読み取ることになる。文字を隆起させることで、視覚障害者が障害者手帳のカードであることを区別できるようにもした。カード化は国が省令を改正したことを受け、2019年4月から自治体の判断で導入できるようになった。これに伴い県は、20年度当初予算でシステム改修費などに一般財源から約1800万円を計上した。県は改正に伴い、県身体障害者団体連合会や県精神保健福祉連合会などにニーズを調査した。紙の手帳だと「汚れたり破れたりする」「周りの目が気になる」などの意見があった。変更は選択制だが、切り替えの手続きが必要になる。県身体障害者団体連合会の平川幸雄会長(74)は「高齢者の場合、今のままで十分と考え、紙の手帳を使い続ける人も多いのではないか」と推測する。県障害福祉課によると、カード型の交付は全国の都道府県で3例目。切り替えの申請は各市町で受け付ける。同課は、年間約7千枚が新規や再交付で発行されている点を踏まえ、年間3500枚程度のカード化を見込む。ニーズについては「状況を見ないと分からない」としつつ「カード化を機に外で使う抵抗感を減らし、障害者の社会参加を促すことにつながれば」と話す。(岩本大志)