虫歯の原因菌であるミュータンス菌の一種が、脳卒中のリスクを高めると国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の研究グループが発表した。論文は28日までに、米医学誌ストロークに掲載された。
研究グループは、脳血管の内皮に結合しやすい「cnm陽性ミュータンス菌」に着目し、同センターに入院した脳卒中患者111人について調査。磁気共鳴画像装置(MRI)のデータを調べたところ、口の中に菌を保有する21人は保有しない90人に比べて、治療後も微小な脳出血が4.7倍多く起きていた。
微小な脳出血が起きると、脳梗塞や脳内出血のほか、認知症のリスクが高まることが知られている。同センターの細木聡医師は「口の中をきれいに保つことで脳卒中などのリスクを低減できる」と話しており、今後も国内外で症例数を増やして研究を続ける。
cnm陽性ミュータンス菌は、日本人の5人に1人が保有する。歯磨きや歯科治療などで口の中で出血すると、血管を通って脳内に到達。炎症により血液を固める血小板の働きが抑えられ、脳出血につながると考えられる。 (C)時事通信社