県立病院機構、赤字6億6900万円 新型コロナ影響 入院患者減


県立5病院を運営する県立病院機構の本年度上半期(4〜9月)の経常損益が、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響で6億6900万円の赤字になったことが29日、分かった。感染者の受け入れに備えて病室や人員を割いたことで、他の病気の入院患者受け入れを制限。延べ入院患者数は前年同期比2万33人(17%)減の10万965人となり、大幅な収入減につながった。新型コロナの影響による医療機関の経営悪化は県内でも鮮明になった。
 国は9月、重点的に感染者を受け入れる医療機関に1病床1日当たり約7万〜43万円の「病床確保料」の支給を決定。県も独自に1病床当たり200万〜700万円の協力金で支援する。機構は「本年度内に経営努力で赤字を解消するのは厳しい」とし、県や国の支援でどの程度補えるか見極めたいとしている。
 機構の上半期の入院診療収益は、前年同期比4億5600万円(7%)減の57億4200万円。入院患者の減少は、感染症法に基づく感染症指定医療機関で、新型コロナ感染者を優先的に受け入れている2病院で特に大きい。信州医療センター(須坂市)が同7529人(17%)減、木曽病院(木曽郡木曽町)は同5437人(25%)減となった。
 こども病院(安曇野市)やこころの医療センター駒ケ根(駒ケ根市)、阿南病院(下伊那郡阿南町)も感染者の入院に備えて一部病室を空けたり、手術を延期したりし、入院患者は前年同期比でそれぞれ11〜19%減った。
 外来患者も減少。5病院全体の延べ外来患者数は前年同期比1万9981人(10%)減の17万8981人。4、5月の外出自粛要請や、感染を恐れて通院を減らす「受診控え」の影響とみられ、外来診療収益は同3725万円(2%)減となった。
 5病院は2010年度から同機構が運営。機構はこれまで経常損失を計6回計上したが、赤字額は16年度の2億6300万円が最多だった。

(10月30日)

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